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海兵隊映画

第2次世界大戦

 やはり、第2次世界大戦を題材にした映画は数多く、1942年のトリポリ魂を始め、ガダルカナルダイアリー、ガン・ホーなどの戦意高揚映画から始まり、1949年の硫黄島の砂は海兵隊存続キャンペーンに重要な役割も果たしました。

 1940年代から1960年代前半までは、まさに戦争映画の全盛期でした。ベトナム戦争が始まると、テレビをつければ実戦の映像が流されるようになり、次第に戦争映画は数を減らし、また路線も兵士たちへの純粋な賛美からは遠ざかっていくようになります。

 結局、「遠すぎた橋」が実際の作戦同様に大失敗に終わると第2次世界大戦物も制作されることが少なくなり、「プライベートライアン」で息を吹き返すまでの長い沈黙の時代へ入っていくことになります。

 その流れで作成されたのが、辛い評価の目立つウインドトーカーズでしたが、やはり、二丁拳銃と白い鳩が出ないことによって辛い評価となってしまいました。

 2006年には硫黄島の星条旗をクリント・イーストウッド監督で映画化する「父親たちの星条旗FLAGS OF OUR FATHERS」が公開されました。

第2次世界大戦以前

父親たちの星条旗
原題:Flag of Our Fathers(我々父親たちの旗)
公開:2006年
制作、監督:クリント・イーストウッド
出演:アダム・ビーチ、ライアン・フィリップ、ジェシー・ブラッドフォード
  1945年2月23日、硫黄島、摺鉢山に二枚目の星条旗を掲揚した6人。3人は戦死し、3人は生き残る。硫黄島で戦った彼らには、何が残されたのか。掲揚者の一人ジョン・ブラッドリーの息子はそれを調べていくことになる。

 硫黄島2部作の第1部として海兵隊側視点で、有名な摺鉢山の星条旗の写真に写る6人に焦点を当てた作品。決して、派手でなく、イーストウッド監督らしい描き方で硫黄島の戦いと、そこで戦った海兵隊員たちの傷を描いています。

 登場人物については知識が無いと誰が誰だか分からないくらい細かい。色々と登場していますが、ついぞスタイン伍長が誰かは私には分かりませんでした。

  装備は当時の硫黄島がそうであったように多くがフィールドジャケットも着用。実際には更にウールシャツも着込むくらいの気温でした(作戦中の硫黄島は、ほ ぼ連日、悪天候に悩まされていました)。ちなみに陸軍の兵用ウールシャツと比べて、海兵隊のウールシャツは…もう少しいい生地使え…なかったんだろうな あ。

 日本軍考証を担当したアメリカ人の方。日本通で、ウインドトーカーズやラストサムライの考証も担当したそ うです。で、原作を質そうとし、一部成功、一部はそのままになったとのこと。確かに原作の日本軍描写、かなりおかしな部分がありましたし。で、この映画に 登場する日本兵は僅かですが、血色が良くて衣装がぴかぴかなのはちょっとなあ、と思っていたら、考証担当も、

「軍服が新品過ぎたのは失敗だった」

 と後悔しているとか。ご本人、硫黄島を訪れた際、二日で服が駄目になったそうです。

 後、例によって、戸田奈津子の誤訳が光る作品でした。

トリポリ魂
原題:To The Shores of Tripori(トリポリの海岸から)
公開:1942年
制作:ダリル・F・ザナック
監督:ブルース・ハンバーストン
出演:ジョン・ペイン、モーリン・オハラ、ランドルフ・スコット
 開戦直前のサンディエゴ海兵隊基地に志願した海兵隊員たち、その中に父親も海兵隊員だったクリスもいた。

 彼らはスミス軍曹の元で訓練を続けるが、クリスは何かと反発する。


 1942年に、史上最大の作戦やトラ・トラ・トラを制作するダリル・F・ザナックがウェーク島で奮闘した海兵隊を讃えるために作った戦意高揚映画(志願者募集映画)。

 M2戦車などがでてきますが、戦闘シーンはなし。M1903が途中でM1(映画デビューでしょうか?)に代わっていたりもしますが、ドリルはさすが本物がやっていて参考にはなります。

 でも、スミス軍曹が紳士。これがハートマン軍曹だったら…(笑)

 マーチングドリルやカラー作品なので当時の制服などがきちんと拝める作品で、登場するのも俳優以外は、当時、サンディエゴにいた海兵隊員たちの本物の動きです。

 ただ、その中の何人かは4年以内に亡くなっている訳ですが。

 メインテーマは、海兵隊賛歌。原題も海兵隊賛歌から。

地獄の戦場
原題:HALLS OF MONTEZUMA(モンテズマのホール)
公開:1951年
制作:ロバート・バックスター
監督:ルイス・マイルストン
出演:リチャード・ウィドマーク、ジャック・パランス、ロバート・ワグナー

 とある島に上陸した第2海兵師団は日本兵を捕虜にするために前進するが、進軍をロケット弾によって阻まれる。そのため、海兵隊は日本軍のロケット基地を捜索する。

 メインテーマは海兵隊賛歌。原題も海兵隊賛歌から。ということでトリポリ魂と関連はありませんが、タイトルは繋がりました。

 制作が朝鮮戦争さなかの1951年であるために、これまでの日本兵殺戮映画ではなく、目的が日本兵を捕虜にするというものなのは、当時、重要な補給地点であった日本に対する配慮が伺えます。ロケット部隊の指揮官の設定は苦笑するしかないですが。

 海兵隊の協力によって描かれる上陸シーンは、さすがに良くできています。LVT3は沖縄戦がデビューですが、この映画の舞台は架空で、サイパン戦の後、硫黄島あたりというのは映像や台詞から伺えます(本編中の記録映像で硫黄島が映りますが)。

 また、戦車からの脱出や、乗員の回収も描かれていたり、微妙にマニアックな映像もあったりするのですが、この当時の映画に良くあるように、「おち」が無い。

 ちなみに途中に出て来る洞窟は、ガダルカナルダイアリーでも登場していたので、撮影場所は同じ場所(海兵隊の演習場?)のようです。

硫黄島の砂
原題:SANDS OF IWO JIMA(硫黄島の砂)
公開:1949年
制作:
監督:アラン・ドワン
出演:ジョン・ウェイン
 ガダルカナルの戦いを終えた第2海兵師団に新兵が補充される。彼らはストライカー軍曹の元で鍛え上げられ、タラワ、そして硫黄島の激戦へと向かう。

 メインテーマは海兵隊賛歌。

 最初は硫黄島のシーンを撮る予定は無かったものの硫黄島の星条旗を掲げた三人の存在を知った制作側が急遽硫黄島のシーンを付け加え、最後の星条旗掲揚のシーンを二日で取り上げ、ブラッドリー氏とヘイズ氏を怒らせたのは硫黄島の星条旗にかかれています。

 典型的な生意気な新兵たちが一人前の兵士になっていく映画で、そこには規模縮小であえぐ当時の海兵隊の事情も反映されています。

 タラワでも、硫黄島でも上陸するLVTは3ですが、後部ハッチを使わずにちゃんと舷側から飛び降りていたり、タラワと硫黄島で装備が違っていたりと、やはり、微妙なところにこだわっています。

 でも、LVT3は沖縄でデビューでしたが。

 最後、戦死するストライカー軍曹の意思をついで戦いへ戻っていく隊員たちが霧に包まれて消えていきます。それはこの後の激戦で第28海兵連隊第2大隊で摺鉢山に登った約40名の内、無傷で島を離れたのが僅か4名であった事実から、彼らの運命を示しているように思えます。

ウインド・トーカーズ
原題:WIND TALKERS(風と話す者たち)
公開:2002年
制作:ジョン・ウー
監督:ジョン・ウー
出演:ニコラス・ケイジ、アダム・ビーチ、クリスチャン・スレーター
 1944年のサイパンで、ナヴァホ族通信員とブーゲンビルの生き残りの下士官との友情、その他。

 まあ、ジョン・ウー映画ですし

 重要な役割を果たしながら、機密とされたために知られていなかったナヴァホ族の暗号通信員に焦点を当てた映画。

 戦艦の主砲とバズーカの威力が一緒だったり、手榴弾の威力がナパーム弾並だったりと兵器の威力がとてつもなく朧気ですが、ジョン・ウーですし。

 スライディングしての2挺拳銃、翻るジャケットの裾、そして白い鳩。これが欠けていたのが、評価の低い理由でしょう(笑)。

 M1928の走りながらの片手撃ちで日本軍の狙撃兵を倒してしまうエンダーズは、もしかするとサンダースの親戚でしょうか?

※サンダース軍曹は、同じ頃、フランスで木に潜むドイツの狙撃兵たちと戦い見事勝利しています。

 ちゃかすのはともかく。

 エンダーズはブーゲンビルで戦い、部隊でただ一人生き残った人間。場所と装備からすると、第1強襲連隊の所属のようです。

戦場よ永遠に
原題:HELL to ETERNITY(永遠の地獄)
公開:1960年
制作:アーヴィン・H・レヴィン
監督:フィル・カールソン
出演:ジェフリー・ハンター、早川雪舟

 1944年のサイパンで、日本人家庭で育てられた海兵隊員が、日本兵を降伏させていく物語。

 日系人家族に引き取られたガイは真珠湾攻撃によって、海兵隊に志願し、第2海兵師団に配属されてサイパンに上陸する。しかし、日系人家族に育てられたことから、日本兵に敵意を抱くことができない彼は降伏を呼びかけていく。 


 先日、亡くなった”サイパンの笛吹男”ガイ・ガバルドン氏の実話。

 撮影は沖縄で、第3海兵師団が協力。日本軍の戦車は、車体がM48。ピンチだ海兵隊!と思いましたが海兵隊は、M48A1でした。

 しかし、突撃前に丘の上に集結した日本軍は、どこのガリア人かと。乱戦中の日本兵の声は、インディアンだし。

 上陸シーンは記録映像でしたが、ペリリューの映像でしょ。それ、と。なお、発進時はLVTでしたが、海岸に到着したら、ヒギンズボート。戦車もそうですが、もうこの時期、そうした装備は無くなっていたのでしょう。

 ガバルドンを養う日系人家族には三人の兄弟がいますが、2人が日系人連隊の活躍を描いた「二世部隊」に出演。そして、その兄弟も日系人連隊に入り、イタリアで戦う。……なるほど。

 日本人の日本語がたどたどしいのはいつものことですが、早川雪舟演じるマツシタ将軍も、台詞かんでいるし。

 ジェフリー・ハンターの日本語も、ニコラス・ケイジの日本語とどっちが上か極めて微妙なところ。

太平洋作戦
原題:FLYING LEATHERNECKS(空跳ぶ海兵たち)
公開:1951年
制作:エドワード・グレインジャー
監督:ニコラス・レイ
出演:ジョン・ウェイン
  ガダルカナルからの海兵隊戦闘航空部隊VMF247に赴任した新指揮官と、彼の元で鍛えられるパイロットたちの物語。

  メインテーマは海兵隊賛歌。この時期の映画は、全部そうかもしれません。

 制作が朝鮮戦争さなかの1951年であるために、日本兵殺戮映画ではなく、零戦を操る強敵といった感じです。

 やられ役なのは変わらないので、素直に楽しめるかはまた別ですが(作品のできはともかく…)。

 DVDのパッケージには、リアリティあふれる戦闘シーンと書いてありますが、戦闘シーンは、アップ以外は、全て記録映像なのでリアリティ以前の問題です。一部は白黒からの着色なので、半分だけ白黒という映像も散見します。物語自体はガダルカナルから、サイパンあたりの話なのですが、記録映像には硫黄島や沖縄の物も多々含まれていました。

 前半は、F6F、後半はF4U。零戦役は、おなじみテキサン。と地上で撃破された日本軍機は色を塗り替えたF6F。

 基本に忠実に、鬼指揮官に鍛え上げられる新人たちの物語です。主演ジョン・ウェインですし。

 500円ですが、画像の悪さはひどすぎるかも。でも、500円。

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