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海兵隊映画

第2次世界大戦以降編

 スペクタクル映画が、地獄の黙示録ではヒットしたものの、1977年の遠すぎた橋によってスペクタクル映画どころか戦争映画自体に止めを刺してしまって以降、世間の風潮もあってか、戦争映画は一気に数を減らしました。

 それでも、80年代後半から、ベトナム戦争を扱った戦争映画の企画があがり、プラトゥーンを皮切りに、ベトナム戦争映画ブームが始まります。当然、海兵隊映画も復活し、フルメタルジャケットやスクワッド(Siege of Fire Base GLORIA)、そしてニューズウィーク誌から、うさんくさい反戦運動家と言われた人物を偏向した視点でしか映画を作れない麻薬中毒監督オリバー・ストーンの7月4日に生まれてが制作されました。

 なお、それ以前にもC中隊の若者たち(ヤングソルジャー)という香港出資の映画もあります。香港映画常連の俳優の出演者の多いヤングソルジャーは、リー・アーメイが初めて海兵隊訓練教官(ロハス曹長)を演じた作品です。

 ベトナム戦争映画ブームが過ぎると、アクション路線では、中東のテロリストの戦いを描いた「デス・ミッション」、海兵隊の狙撃手を描いた「山猫は眠らない」、過去の映画のシーンを切り貼りして一本作り上げるマイケル・ベイ監督の「ザ・ロック」。湾岸戦争に従軍した海兵隊員偵察狙撃兵アンソニー・スオフォード原作の「ジャーヘッド」

 法廷サスペンス路線では、「ア・フュー・グッドメン」、「英雄の条件」や「ハイ・クライムズ」といった作品で海兵隊は取り扱われました。

 最後に上陸して、おいしいところを持って行ったジュラシックパークIIIとか、エイリアン2は入れていいものかどうか……

第2次世界大戦へ


フルメタルジャケット
原題:Full Metal Jacket(完全被甲弾)
公開:1987年
制作:スタンリー・キューブリック
監督:スタンリー・キューブリック
出演:マシュー・モディン、ビンセント・ドノフリオ、リー・アーメイ
 1967年、パリスアイランドに集まった志願者たち。彼らはハートマン一等軍曹の元鍛え上げられ、ベトナムの戦場へと向かう。

 説明する必要の無い海兵隊映画。ハートマン軍曹の罵詈雑言にいかれた人間多数。キューブリック監督生前最後の作品ともなりました。

 狂気を描いた戦争映画と言いますが、キューブリックらしい人間社会の皮肉を描いた作品ではないか、と。共産主義者と戦うために訓練を受ける彼らが、カールソン中佐が、共産主義に共鳴を受けて標語にしたGung-Hoを唱和するのは意図してはいないかもしれませんが。

 考証は正しいのやら、間違っているのやら。海兵隊の戦車がM41だったり、装備が陸軍のものだったりですが。後、撃たないときはMGCのM16。

 ちなみに、この映画M16A2のデビュー作(笑)。M16A2が採用された直後にコルト社がAR15にA2と同じブルバレル、ハンドガードとグリップを装着したモデルを販売しまして、この映画では、そのAR15A2のハンドガードだけ交換して使っています。

 はっきりと確認できるのは、エイトボールが撃たれたあたりから。バレルの太く、ピストルグリップにつののついたM16をジョーカーたちが持っている。

 一説では実弾を用いていると言われる戦闘シーン。確かに前からは役者、後ろからはスタントマンが演じ、一部のシーンでは前にいる人間がマネキンなのか全く動かないなどなど、それらしい気配はありますが。

 テレビ放映はたびたび予定されるのですが、未だに放送されたことがないと。

ハートブレイクリッジ
原題:HEARTBREAK RIDGE(心臓破りの丘)
公開:1986年
制作:クリント・イーストウッド
監督:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド、マーシャ・メイスン

 名誉勲章受章者のハイウェー一等軍曹が古巣の偵察小隊に戻る。

 偵察小隊はハイウェー軍曹によって鍛え直され、誇りを取り戻し、そしてグレナダへと向かう。


 典型的なだらけた若者を、古参が叩き直すスポ根映画ですが。

 見ればわかりますが、海兵隊の宣伝映画です。

 ただ、海兵隊協力のために、LVTP7を大量に使った上陸シーンは見応えが。

 描かれたグレナダ進行作戦は、ベトナム戦争後初となる大規模作戦でした。

 しかし、偵察部隊が、あんなに戦闘していいものだろうか…海兵隊は臨機応変。

 なお、グレナダ進行作戦三日前に発生したベイルートのBLT爆破事件で犠牲になったのも、同第2海兵師団の隊員たちでした。

ジャーヘッド
原題:Jarhead(ジャーヘッド)
公開:2005年
監督:サム・メンデス
出演:ジェイク・ギレンホール、ジェイミー・フォックス

 海兵隊に入隊したスウォフォードは、湾岸戦争の開始によってサウジアラビアに派遣される。そこで待っていたのは、待ち望んだ戦いではなく、ただ、開戦を待つだけの長い退屈な日々だった。


 メディアが暴く気もなかった真実。湾岸戦争に参加した一人のジャーヘッドの視点から描かれたベストセラーの映画化。

 ドキュメンタリーを見る限り、日本の宣伝のような反戦色の強いものではなく、前線の兵士たちへの讃歌でしょう。

 ただ、派手な戦闘があるわけでもないので、戦争映画として見るのは間違いかもしれません。

英雄の条件
原題:RULES of ENGAGEMENT(交戦のルール)
公開:2000年
制作:リチャード・D・ザナック
監督:ウィリアム・フリードキン
出演:サミュエル・L・ジャクソン、トミー・リー・ジョーンズ

 中東のイエメンに派遣されたチルダーズ大佐は、大使館からの脱出の際、発砲してくる民衆へ向けて反撃を命じたことで起訴される。

 彼の無実を証明するために、ベトナムで命を救われた親友のホッジス大佐は調査を開始する。


 賛否両論を生む典型的な映画。じゃあ、アメリカ軍は一方的に殺されろ、とでも言うのでしょうか? 人権とか言う割に、そんなの微塵も考えていない証拠でしょう。

 ベトナム戦争の待ち伏せ攻撃、そしてイエメン大使館からの脱出以降は法廷闘争劇。

 エンドは一番試写会で受けが良かったバージョンだそうです。それを非難する意見もありますが、それが示すように、なぜか、他国とは違う特別ルールが適用されるアメリカの葛藤を描いた映画でもあります。

 でも、民衆に紛れて発砲するシーンは、どうも付け足しの感。

ア・フュー・グッドメン
原題:A FEW GOOD MEN(精鋭の男たち)
公開:1992年
制作:ロブ・ライナー
監督:ロブ・ライナー
出演:トム・クルーズ、デミ・ムーア、ジャック・ニコルソン
 グアンタナモ基地で起きた殺人事件。容疑者の海兵隊員二人の弁護に派遣された海軍法務官は、そこに暗黙の命令が絡んでいることが判明する。

 ジャック・ニコルソンが出ている時点で、この方が何が何でも黒幕なのは確実というのはともかく。

 法廷劇もまた、映画ジャンルでは古くからある形式で、同じ題材を扱ったのが、テレビドラマとして、第1シリーズは失敗したけれど、別なテレビ局から声がかかって第2シリーズが始まって人気シリーズとなったJAG(邦題ネイビーファイル)です。

 軍の暗黙の制裁に絡んだ事件を扱う映画だけにオープニングのドリルチームは、海兵隊ではなく、フォーマー・フィッシュ・ドリル・チーム協会、軍楽隊はキャピタルバンドと題材が題材だけに軍の協力は得られなかったようです。

※そんな訳で、ハンバーガーヒルは、クレジットに第101空挺師団泣き叫ぶ鶏が出ている以上、反戦映画ではない訳です。

ザ・ロック
原題:THE ROCK(岩)
公開:1996年
制作:ジェリー・ブラッカイマー、ドン・シンプソン
監督:マイケル・ベイ
出演:ニコラス・ケイジ、ショーン・コネリー、エド・ハリス

 海兵隊の伝説的指揮官ハメル准将率いる部隊がVXガスを強奪し、アルカトラズに人質とともに立て籠もる。

 FBI捜査官グッドスピードは、SEALSと、そして元イギリス諜報員のメイスンとともにアルカトラズへ侵入する。


 海兵隊の反乱映画なので、あれなんですが。

 場面が切り替わるごとに、先の読めるストーリーは、さすがマイケル・ベイ(笑)

 毒ガス奪取も、潜入部隊の全滅も、はては裏切り者も全て予測できるという。更に意味もなく大爆発する市電や車。最後に爆撃を行うのが、空軍のF/A18なのも。更にオープニングと、ニコラス・ケイジがポケットに入れた時と強度がまるで違うガスの球とか。

 そして、海兵隊は足が速い!

 アクションは派手で面白い作品ですが。つっこみどころも大量だという。

 取り敢えず、元イギリス諜報員という役どころのショーン・コネリーというだけで、ある意味十分。そして、これで三度目のSEALS隊長を演じるマイケル・ビーン。

 ビーン演じるアンダーソン中佐が、瞬殺されるのは髪がふさふさだったからでしょうか?

※ニコラス・ケイジ、ショーン・コネリー、エド・ハリスの主役三人の頭…

ザ・シューター 極大射程
原題:SHOOTER(射撃手)
公開:2007年
制作:ロレンツォ・ディ・ボナベンチュラ、リック・キドニー
監督:アントワーン・フークア
出演:マーク・ウォルバーグ、ダニー・グローヴァー
  

 かつて、CIAに裏切られて海兵隊を退役し、ワイオミングの山中に引きこもったボブリー・スワガーの元に、大統領の暗殺計画を阻止して欲しいと依頼が来る。

 だが、それは陰謀の始まりだった。


 海兵隊員を敵に回してしまった不幸な人々が右往左往しながら、殺されていく映画。

 原作は、スティーブン・ハンターの「極大射程」。モデルは、海兵隊の伝説的スナイパー、ハンコック軍曹。

 往年のアクション映画ですが、特に主人公が海兵隊の狙撃手である必要性が非常に薄いのが、映画の脚本。

 

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