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Inside Farming Vol.100



100回目を迎え、Inside Farmingを振り返る


 Inside Farming−農業の内幕・内情−ちょっとシニカル−と題したこの連載も1997年の開始から100回を数えました。林檎の作り方品種の紹介など、林檎販売のための広告だけだった河合果樹園のホームページ(HP)に「もっと生産者が何を考えているのか生の声や考えを聞きたい」「農業サイドからの意見や主張があっても良い」というご意見のメールを頂いたのが、このコーナーのきっかけであったと記憶しています。園主は1989年に「林檎と一緒に物語も売る」というコンセプトで贈答林檎の直売を開始していたのですが、そのコンセプトとも一致したものでした。

 今回、記念すべき100回を迎えるのにあたり、お祝いのメールとか、単行本にして出版しようというオファーを下さる出版社も特にはありませんから、園主自らが、自画自賛することにしたいと思います(笑)。

 振り返れば「農業に対するステレオタイプのイメージの打破」「減農薬への挑戦と苦労」「林檎の機能性のアピール」「農をエンジョイするライフスタイル」「地域の農業者のチャレンジの様子」などについて、それなりに表現してきたつもりですし、海外を意識して英語で書くという試みも、実際に海外メールを幾つか頂くという成果を出しました。国内でも河合果樹園の農のスタイルに「共感」してくださる方から中身の濃いメールも頂きました。このコーナーを頻繁に更新すればHPのヒット数もググッと上昇しますので、結構楽しんで読んで下さっている方もいらっしゃるのではないかな(嬉)〜という手応えも感じる今日この頃でもあります。

 このコーナーを書くに当たっては、かなりのパワーと時間を必要とするために、なかなか定期的な更新できず、ご迷惑をおかけしています(資格試験の時期には更新が皆無になってしまいます。すみません)。このコーナーは大抵、農作業をしながら、書きたい内容を考え、大体内容が固まった時点でPCに向かい文章にしていますが、書き出してみるとまとまりがつかずボツにすることもあります。また、推考の段階まで行きながら気に入らなくてボツにすることも結構あります。そのため、さらに、更新頻度が落ちてしまうのです。でも、それは、河合果樹園を訪問してくださるお客様に提供する文書ですから、園主なりに内容も質も一定以上のもの心がけている結果なのです。

 内容は、園主の独善的な主張だけにならいないように気をつけているつもりですが、当り障りのない一般論を書くことは意味がないので、少々シニカルな書き方をすることもあります。でも、誤解しないでください。園主自身はそれほどシニカルでもニヒルでもありませんよ。かといって激情型でも直情型でもありません。どちらかと言うと、物事に対する受け止め方は素直な方なんです。

 ところで、記念すべき第1回は1997年の9月に書いたものでした。「農業とは、自然に翻弄されるものだと思う」と題したこの回を5年経った今(2002年の9月)久しぶりに読み返してみると、私にとっては古さも違和感もなく、考え方もほとんど変っていないことを発見します(進歩が無いともいいますが)。逆に、この第1回を読むと、専業から兼業のスタイルへの道筋が既に複線として描かれているような気がして、自分ながら驚いています。家庭の事情で突然Uターンして就農してから8年間は大きな災害もなく、安穏としていたのですが、この第1回を書いてからの5年間には「台風被害」>「行政書士取得」>「雹被害」>「特許事務所勤務」と、まさに絵に描いたように自然に翻弄されていますね(笑)。それとも、自然に翻弄されるふりをして、園主自身が5年前に深層意識の中で考えていたスタイルへと変ってきたということでしょうか。不思議ですね。でも、もしも(人生を「もしも」で振り返ることに意味がありませんが)、自然災害や、これほどのデフレ不況に突入しなければ、当時、河合果樹園の林檎直売はかなりの勢いで拡大していましたから、専業でバリバリ法人化なんてことだってあり得たかもしれません。だから、やっぱり、この第1回目の内容は私自身、驚きなんです。

 そういえば、Farmingと題しながら、インターネットコンピュータのことも書いています。他産業と同様に、農業にとっても、コンピュータは販売管理手段としても情報発信/収集手段としても不可欠なものだという意識から書きましたが、近年では、農の現場と消費者のコミュニケーション手段としても威力を発揮しはじめています。ご近所の農業仲間のHPも増え、情報を発信することの意義に気づかれた農業者も増えてきたと思います。

 なお、「子育て論」や「行政書士の卵」も、このコーナーのデリバティブです。そう考えるともう、この連載は100回の超えているともいえます。農業やコンピュータに興味が薄い人でも、河合果樹園のHPを楽しんでもらう為に「教育」や「資格」についても取り上げることにしたものです。でも、最近は忙しさにかまけて更新できず、反省です。

 なんだか、エピローグみたいな、ちょっと、ノスタルジックな文体になってしまいましたが、5年目の100回を契機に振り返ってみました。とにかく、読んでくださった皆様に感謝、感謝です。ありがとうございました。

 これからもInside Farmingはまだまだ続けます!!今後も、時々読んでくだされば、幸せです。

園主


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