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Inside Farming Vol.20 (Japanese)



台風7号。過去最大の被害の1週間!

まず、全国で台風7号、8号の水害・風害などの災害に遭われた皆様に心からお見舞いします。 そして、農作物の被害を受けた農家の皆様、お互いに頑張りましょう。
また、電子メール、電話、FAXにて、お見舞いのメッセージを下さったお客様、友人の皆様、本当にありがとうございました。皆様からやる気と元気を頂きました。

台風の当日。
その日、河合果樹園のある長野県中部はしっかりと台風7号の暴風域に入ってしまった。初めて体験するような強風(後のデータによると松本空港で最大瞬間風速41mを記録していたという)。それを耳にしながらキリキリと痛む胃。
やっと風が治まった夜の9時頃、私と母と妻と3人で懐中電灯を持って果樹園の様子を見に行った。唖然として声も出ない。大量の林檎が落下していた。

台風の去った翌日は林檎園に散乱した林檎たちを黙々と拾った。
拾った箱数は18kg入りの野箱で128ケース。2t以上になる。林檎1個の平均の重さを280gとすれば8200個強の林檎の落下だ。落下した品種の8割以上が主力の「ふじ」であった。その他に倒れたり(写真)、幹が途中から折れた木が8本。さすがに落胆は大きかった。

さらにその翌日の朝は大雨だった。
昨日1日では落下した林檎を拾いきれなかったために「この雨が止んだらまた林檎拾いだ」などと考えてるところに、なんと消防の出動命令が出た(実は私は地元消防団の一員だ)。1時間に60mmを超える大雨で川や水路が氾濫したというのだ。私も土嚢を作って氾濫個所に積んだり、水路に溜まった土砂をシャベルで掬うなど、とりあえず果樹園の事は二の次にして、この日はボランティア活動に従事することにした。しかし、その一方で、我が林檎園の一つでは土を水流に持っていかれるという被害を受けていた。その園では林檎の木の根っこが丸見えだ。

3、4日すると不思議に開き直った。
3、4日すると隣村の林檎専業農家の友人から電話があった。「被害、どう?」と言うので「大体130箱かな」と答えると「まだいいジャン、うちは200箱だぜ」と、お互いに被害の大きさ自慢大会になってしまった。それぞれの農家の経営規模によるので落下箱数が一概に被害の程度の大小とはならないものの、彼のところでは林檎の木を支える支柱ごと倒れる被害もあったという。
他にも情報が集まるようになると、我が家の被害も相当なものではあるが、更に大きな被害の地域が近隣にあるという事が分かってきた。人の被害を見て自分を慰めるのも情けない事だが、我が家は「まだまだ頑張ればなんとかなる」というレベルだという事を知ってやる気も出てきた。

1週間経ってさらに本当の被害が分かった。
台風から1週間。台風の時にはまだ収穫期が到来していなかったジョナゴールドという林檎の収穫を開始した。まさに収穫直前に台風に遭ったジョナゴールドだったが意外と落下が少なく、神がいるなら心から感謝したい気持ちでの収穫だった。
しかし・・・・ある程度の予想はしていたが・・・・傷ついた林檎の多さにびっくりした。落下は免れたものの、小さな擦り傷はもちろん、普通に流通させるには腐敗してしまうほどの大きな傷や、果実に枝が刺さってしまったものなどの商品価値のない果実もかなりある。「あれだけの風が吹いたのだから仕方が無い」と自分に言い聞かせる収穫だった。

そんなこんなの10日間。
長野県も、JAも、市場も、台風被害対策と農家救済に動き出している(感謝、感謝)が、混乱はまだまだ続く・・・・。(次号に続く)



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写真、本文とも Copyright(C) 河合果樹園