第一回 資格取得を目指した事ありますか? 不況のせいなのか、最近”資格”というものがかなり注目を集めている。いつの時代でも「手に職」があるのは強い。例えばリストラへの対抗手段として、例えば就職への自己PRとして、そして自分を生かすための転職に備えるために”資格取得”を考える人は多い。また、特に女性の間で資格取得に興味を持つ人が多いともいわれる。妻が言うには、男性社会で男性と同等以上に働き、正当に評価されるための一つの手段として資格の獲得を誰でも一度は志すという。 私の場合は、農業を営みながら、いつも”天候に左右されないで経営できる仕事”、”どこかに就職するのではなく個人でできる仕事”、”農業と共存できる仕事”はないものかと考えていた。もちろん社会的な貢献と名誉を獲得でき、さらに儲かればなおOK!などと調子のいい事ばかり考えていて、そんな時、たどり着く結論は決まって何か資格を取って開業するという事だった。たまたま4年ほど前に学生時代の後輩の女の子が司法書士開業と聞くに及んでは、”ひょっとして自分も出来るんじゃないのか?”などと今思えば錯覚に近い想いがグングン膨らんでいく日々が続いた。 が、しかしである。 本屋に行く度にいくら「資格の取り方」や「資格ガイド」を読んでいたところで一向に資格が取れる気配が無い。いろんな資格の「合格完全ガイド」を買い漁ってみても、何の進展もない。当たり前である。大きく掲げるのは目標だけ。そのための勉強という地道な努力は何もする事がなかったからだ。 努力しない自分へのエクスキューズはいくつもある。 まず第一に”仕事が忙しい”。次に”農業は肉体労働だから、家に帰ると勉強する気が無くなって当たり前”などとすぐ自分に言い訳する。ちょっと問題集などやり始めても法律用語のイロハも知らず何が書いてあるのかチンプンカンプンで、”元々俺は理系だからな!”だとか、目標にした資格が手が届きそうにも無いくらい難関で”やっても受かりっこないや!”とか・・・。 そんな私(言ってみれば資格試験挫折者の典型)が、たまたま昨年の8月に仲良くなった知人に、「もし民法をある程度勉強してあるなら、まず行政書士を受けてみたら」と薦めらた。その言葉に背中を押されるように9月に願書提出。10月に試験。そして幸運にもこの1月に合格通知が来た。 合格通知が来た時、私と妻はとっても嬉しくて飛び上がって喜んだ。 その時、私の心の中ではもちろん試験に合格した事自体も嬉しい事ではあった。しかし、それに加えて”資格試験挫折の典型である私”でも投げ出さないで"資格取得"という結果が出せたという喜び。さらに努力すれば結果が出せるという密かな自信が与えてくれる喜びも大きかった。 「行政書士の卵」はそんな私の受験勉強の経緯。今後どんな展開になるか自分でも予想もつかないが、開業、仕事への道のりを報告するドキュメンタリだ(開業して仕事があるのか分からないけれどね。読んでね)。
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