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Inside Farming Vol.6 (Japanese)



農機具としてのPC導入は、必要な時に覚悟を持って。

Windowsブーマーの個人ユーザーの中には既にパソコン(PC)がホコリをかぶってしまった人もいるようだ。95年当時、PCを使えばなんでも出来るという過度な幻想は無くても、PCを買えば何かができるという安易な雰囲気があった。97年現在でもとりあえずインターネットを始めれば何かが変るという漠然とした雰囲気はあるし、98年には新しいOSがコンピュータをより身近なものにしてくれるという雰囲気が作られるに決まっている。

ネット上でこれを読まれている方は、会社か家庭でもう十分にPCを利用されている方だから人からPC購入についてのアドバイスを請われることもあるに違いない。そんな時「パソコンをやりたい」という動機で購入するしようとしている人がいたら再考を助言してあげて下さい。「帳簿をつけたい」「趣味の**に使いたい」などと具体的に動機を挙げた人にはお勧めのソフトとPCを助言してあげて下さい。「とりあえず年賀状を作りたい」と言う人がいたら、「とりあえず今年は私のPCで一緒に作ってみる?」とワン・クッション置いてあげるのが先人としての勤めでしょう。

そうは言っても、私自身、農業に就いてから多くの友人に農機具としてのPCの導入を勧めてしまった過去がある。友人に無駄な投資をさせてしまったという悔いもある。

なかなかPC利用が進んでいない例は共通している。購入当時はバンドルされている表計算やワープロで名簿などを作ったり、ちょっとしたゲームで遊んでみるがしばらくするともうスイッチを入れなくなる。新しいソフトを入れたが使い方が分からないと言うので行ってみればマニュアルがない複製だったとか、久々に電源を入れたら日付がおかしくなっていたなんてことがあると末期的だ。PC導入を勧めた手前、私はたまらず、初心者も簡単に毎日利用できる農業日誌ソフトを自作して配ったものだった。

その中でうまく導入した例は、「農産物直売の顧客管理をやりたい」という強い意志があった友人の場合であった。当時はまだDOSの時代。私が推薦したシステムは比較的構造が理解しやすいカード型データベースのTheCARD3(ASCII)+水平式のインパクトプリンタ(OKI)+PC9801シリーズ(NEC)で50万円(昔はPCが高かった)ほどの投資金額だっただろうか。宅配便伝票を手書きで処理するというのは気の遠くなる作業だから、導入すれば仕事の軽減と投資の回収は明らかだった。彼は何より必要に迫られていた。特にコンピュータ経験が無かった彼だがサンプルデータベースとサンプル帳票を利用してこのソフトを自力でマスター。6年を経過する今でもそのシステムで仕事をし、投下資本を回収している。多分CPUは486−33MHz(Intel)クラスではないだろうか。

そうしてみると本当は当たり前のことなのだが、個人や個人経営の農業者がパソコン購入に際して目的が曖昧な場合、その導入に見合う成果は得られない(指針が無いから成果も無い)と改めて気づかされる。さらに個人でPCを導入する場合(企業が業者にシステム依頼するのではない場合)は、必要な仕事に的を絞って一つのソフトウエアと腹を据えてじっくり向き合あう覚悟と姿勢が必要なのだと分かる。

「PCを農業でどのように利用しているか?」と言う質問をネット上でも年に2.3度受けることがあるが、逆に「自分の仕事にPCが必要か?」と自問してみればそこにこそ答えがある。あとは最低1年間マニュアルと対決する覚悟さえあれば、直ぐにソフトウエアの選定を始めて下さい。機種は費用対効果を考えながらかっこいいのを選んでみましょう。

*画像は河合果樹園がMS-ACCESS(Microsoft)で組んだ顧客管理システム。
*ソフトウエアの名前などは製品名は各社の商標です。



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