日本列島徒歩縦断記 北海道→鹿児島 |
17【いたるところで宴会】 歩いている途中にある先輩や友人,親戚の家に寄ると,酒宴を開いて縦断完遂の激励をしてくれたが,強烈な二日酔いには毎度のことながら参った。 さすがに見知らぬ人の家では深酒は控えていたが(笑) 歩いていた時期は夏祭りの時期でもあり,あちこちで色々な夏祭りと遭遇した。そして,夏祭りと言えば酒である。知らない人達から夏祭りでの酒宴に引っ張り込まれ,気が付いたら朝ということもあった(爆) 私が北海道から鹿児島まで歩いていることに,ほとんどの人がビックリして,そして,大抵は「頑張れ」と激励してくれたが,「そんな馬鹿な,お前は暇人か」と笑われたことも幾度もあった。こっちの反応が正直な反応だったかも(笑) でも,色々な人達との会話はとても楽しいものだった。 18【洗濯と乾燥】 歩いたのは真夏だったので,ちょっと歩いただけで滝のように汗が流れ,常に全身が汗まみれの状態だった。 なので,毎日の洗濯は欠かせない日課であった。 しかし,さすがに洗濯機を持って歩くことは出来ない。そこで,公園などで水道を見つけては,洗濯物に洗剤を付けて手でゴシゴシ洗っていた。 ま,ここまでは良いが,問題は洗った洗濯物をどうやって乾かすかである。 最初の頃は,野宿している所にロープを張って,寝ている夜に干していた。しかし,天気が悪かったり,無風だと夜の間だけではどうしても乾かないのである。 どうしたら乾かすことが出来るか考えていたら,グッドアイデアが浮かんだ。そうだ,背負っているバックパックに紐を通して掛ければいいじゃないか,カンカン照りのお日様の陽を直接受けるし,歩いているから風通しも良いはずだ,ということでさっそくバックパックに干す方式を採用した。 思った通りであった。実に良く乾くのである。 それからは,洗濯したらバックパックに掛けて干しながら歩くようにした。 しかし,どんな良い方法にも一長一短がある。 パンツまで掛けているので,市街地を歩くときが問題なのだ。その注意喚起をしてくれたのは,やはり「おばちゃん」であった。突然,後ろから「にゃぁ〜はっはっは。あ〜ん〜た,それっ,パンツだわね〜,にゃぁ〜はっはっは!」ときたのだ。 その改善策として,市街地を通過するときはパンツはしまうことにした。東京や大阪はしまいっぱなしだった(笑) 19【風呂は困った】 風呂は大きな問題であった。 歩いた道路は主に国道だったので,沿道に銭湯はまず見当たらない。 このため,北海道では海水浴場があればそこでキャンプし,シャワーで体を洗った。 その他の方法として,公園があれば,そこで体を洗っていたが,公園の場合は人目があるので全身裸になってと言うわけにはいかない。 1週間に1回ぐらいの割合で,先輩,親戚,見知らぬ人の家に泊まっていたので,この時ばかりは,お風呂にゆっくり入ってきれいだっぱり出来たが,何せ1週間に1回程度である。 夏に週イチの風呂では役に立たないのである。毎日公園で体を洗ったとしても,それでは足りず,そのうち体から芳しい香りが漂うようになる(笑) ある県庁の記者室で,数人の記者から取材を受けているとき,一人の記者が「そのバイタリティーはやっぱりニンニクですか?」と聞いてきた。 あれ?ここ2,3日,ニンニクが入った料理は食べた記憶が無いけど,ん〜? と,そこで気が付いた。1週間ほと風呂に入っていないっことを(笑) 20【病気&怪我を熱烈希望】 単純な「歩く」というだけの行為を63日間にわたり毎日続けるのは,結構大変であった。 途中で止めようと思ったことは無かったが,真夏の炎天下の辛さ,雨の日も歩かなければならない厳しさ,そして孤独の寂しさに,「このまま病気になるか,交通事故に遭わないかな。そうすればもう歩かなくてよくなる。そうなれば楽なのに。」と,そのようなことを東京あたりまでは何度も考えた。 しかし,東京を過ぎたころからはそのような気持ちが消え,前進あるのみ!になっていた。 21【オカマに襲われるとは】 当時純真な青年であった私にはショッキングであった。 聞いたことはあったものの,世の中に,本当にオカマがいたことを知ったことに。 何しろ縦断中に2回も襲われそうになったから,そのショックは相当なものだ。 1回目の被害 歩いている私を呼び止めて空き地に呼び入れた男は,静かに近づいてきて,「ねぇ〜,一人ぃ?,寂しくな〜い?」。 そして,更に近づいてきて体に触ろうとした! あまりの気持ち悪さに,「触るなぁぁーー!きえぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーっ!!」と声にもならない声で叫んだら,びっくりして逃げていった。 2回目の被害 縦断中は公園での野宿も多かった。 そんなある公園での夜中のこと・・・ 公園のベンチに寝ていたら,どうも太股あたりがくすぐったくて目が覚めた。 「ん〜?何だ?変だな,猫でもいるのかな」と思って目を開けたと同時に,思わず悲鳴が出た。「うおぉぉぉーーーー!!!!」 何と私の顔をのぞき込みながら太股を撫でている男がぁぁぁ〜,目の前にいるではないか! しかも男の目はウルウルして潤んでいる。何てことだ。信じられない状態に,今まさに自分が置かれている。 気持ちが悪くなってゲボッと吐きそうになったが,男の胸を思いっきり突き飛ばし,「この野郎ぉぉぉぉーーーーー!!あっちに行きやがれーーーー」と思わず怒鳴った。男はすっ飛んで逃げていった。 世の中怖いと思った出来事であった。 何はともあれ、足かけ3年に及ぶ日本列島徒歩縦断記がやっと終わった。 さて、これから日本列島を自分の足だけで歩いてみようと思っている君、何かの参考になったかな? 目標達成を願ってます! |
||||||||
|
←日本列島徒歩縦断記のトップへ |