熟年夫婦の 東海道五十三次 テクテク日記
                 
 宇津ノ谷で、秀吉からいただいた陣羽織の話を聞く
                           … 丸子宿〜岡部宿〜藤枝宿
第十一日目 
2007年2月12日(月) 晴れ
今日のコース : 丸子宿〜岡部宿〜藤枝宿
日記の記録  : 旅人の J  (熟年夫婦の夫 J、妻 M)
  宇津ノ谷の家並みと「お羽織屋」が楽しみ!!
 今日の「五十三次テクテク旅」は、往時の面影の漂う宇津ノ谷の家並みと「お羽織屋」の陣羽織が楽しみ。
 宿の若女将との楽しい会話を後に午前8時35分、宿を出て旧街道の丸子橋に向かう。

  街道を行く

 日本橋から四十八里八町
  (189.3Km)

  丸子宿丸子橋
  (静岡市駿河区丸子)

   丸子宿の方々の優しい心遣いに感謝 !!

 丸子橋を、午前8時45分にスタートし、宇津ノ谷峠に向かう。途中、右折して国道一号線をわたるところを、間違えてまっすぐ行ってしまう。
 数百メートル行った所で、地元の方と思われる年配の女性から声をかけられる。『山へ行きなさるのかね。』 私たちは『旧東海道を歩いて、岡部宿に行きます』と答える。更に二言三言、話は続くが、「道が違う」と教えてくれていることに私たち旅人は気が付かない。結局、なんとなく、お礼を述べて、先に進む。今度は、年配の男性が声を掛けてきた。『どこへ行きなさるのかね。』と。『宇津ノ谷峠を越えて、岡部宿に行きます。』と答えると『それなら、道が違う。』といって、正しい道への行き方を詳しく教えてくれた。
 それにしても何という、親切、縁もゆかりもない旅人に、一生懸命、正しい道はあっちだ、ということを教えてくれる。丸子宿の方々の優しい心遣いに感謝、感謝。見知らぬ人に支えられながら、旅人J&Mの五十三次テクテク旅は進む。本当に「感謝」です。

  昔の旅人は、何を思ったのだろう!

京三条大橋を目指す旧街道は、国道一号線と合流したり、離れたりしながら丸子側の「道の駅・宇津ノ谷」に向かう。
 午前9時50分、道の駅に到着し、休憩とする。

 行く先に大きな山がせまっており、これからの別世界のコースを控えて、昔の旅人は何を思っただろう、と考えながら、これからのコースを地図で確認した。

 旅人二人は、江戸気分!!

  国道一号線と分かれて右手の旧街道に入ると、すぐに「ようこそ!宇津ノ谷へ」の案内板があり、そこを左に折れ、宇津ノ谷の集落に入った。
 資料に書かれている通り、山中の宿場という往時の面影が残っており、宇津ノ谷の家並をゆっくり、ゆったり、歩いた。旅人二人(我々のこと)は完全に江戸気分だった。
 
 午前10時5分
  「お羽織屋」で秀吉から陣羽織をいただいた経緯を聞く

途中、「お羽織屋」に入り、秀吉からいただいたという陣羽織と家康からいただいたという茶碗などを拝見する。説明をしてくれたおばあさんは、話がじょうずで説明内容もよく、聞きやすかった。

  天正18年(1590年)、当時庄屋をしていた石川家の主人は、小田原の北條氏攻めのため、東海道を下り、宇津ノ谷峠を越えてきた豊臣秀吉の馬の沓を見て、『馬の沓を取り替えましょう。』と、申し出て、3脚分の馬沓(ばくつ)を差し出したという。秀吉は『馬の足は4脚なのに、どういうわけか?』と、たずねると、主人は、『あとの1脚は、ここにおいて、戦いのご勝利を祈るつもりでございます。』と答えたという。
  さらに秀吉が『あれなる山は?』と問うと、『アレは勝山、その大木は勝の木と申します。』と答え、『なに、勝山に勝の木か、めでたい、めでたい、戦いには必ず勝って来るぞ。』と機嫌よく出かけていったという。戦いに勝って、帰途、再び、石川家に寄り、褒美として着用していた陣羽織を脱いで渡したという。また、後に、徳川家康がこの陣羽織を見て、記念に茶碗をおいていったり、諸大名が陣羽織をさわっていったので、その部分だけぼろぼろになり、補修した。

  さらに、『4脚の4は死につながり、それを避けるために3脚にしたようだ。』との、おばあさんの追加解説があった。

  街道を行く

 日本橋から四十九里十四町
  (193.9Kmあたり)

  宇津ノ谷の家並み
  (静岡市駿河区宇津ノ谷)
  「十団子」と家並みの撮影

 また、「お羽織屋」で鬼退治伝説の「十団子(とおだんご)」を旅のお守りとして買い求めた。「お羽織屋」を出て、宇津ノ谷の家並みを過ぎ、石段を登り、峠道の途中で振り返り、上から宇津ノ谷の家並みを撮影した。事前に打ち合わせをしていたので、旅人Mがゆっくり家並みを歩き、私が上から家並みとMを撮影した。2〜3度繰り返し、20枚ほど撮った。

   小さな石仏に、旅の無事を祈る

 撮影を終え、宇津ノ谷峠を目指したが、途中道端に小さな石仏があり、旅の無事を祈った。今日が休日のせいか、峠道はハイキング姿で歩いている人が多く、特に岡部側から丸子に向かう団体が多かった。宇津ノ谷峠を下り、岡部側の「道の駅・宇津ノ谷」で休憩した。午前11時45分
  編み笠姿の武士から、寄るように進められ …

旧街道は、国道一号線と離れて、岡部川に沿って走っている県道208号線を進む。岡部川を渡る直前で右手に進み、迂回しながら岡部橋を渡る。県道208号線に合流するとすぐに「大旅籠柏屋歴史資料館」がある。編み笠を被った武士に、寄るよう勧められるが、時間が無いので、写真を撮らせてもらい、先を急ぐことにした。岡部宿、到着、午後0時35分

 東海道五拾三次 駿河国
 岡部宿
 
 人口:2322人
 総家数:487軒
 本陣:2軒
 脇本陣:2軒
 旅籠屋:27軒

岡部 [宇津之山]
 奥深い山中の峠道、薪を背負った人々が行きかう。豊臣秀吉が切り開いた峠道という。
 
 「岡部宿」
 岡部宿は、小さな宿場ではあるが、家並みや道幅に往時の風情が残っており、落ち着いた町並みが続いている。また、岡部町は、歴史・文化の案内や東海道の情報表示などが整備されており、旅人に優しい町だ。
 「小野小町の姿見の橋」

さらに進むと、「岡部宿本陣跡」がある。左手に折れ、落ち着いた町並みを進むと、「小野小町の姿見の橋」があった。案内板に次のように書かれていた。

 小野小町は絶世の美人であり、歌人としても有名であった。晩年、東国へ下る途中、この岡部宿に泊まったという。小町はこの橋の上に立ち止まって、夕日に映える西山の景色の美しさに見とれていたが、ふと目を橋の下の水面に移すと、そこには長旅で疲れ果てた自分の姿が写っていた。そして過ぎし日の面影を失なってしまった老いの身を嘆き悲しんだという。こんなことがあって、宿場の人たちはこの橋を「小野小町の姿見の橋」と名付けたという。

  街道を行く

 日本橋から五十里二十四町
  (199.0Kmあたり)

 
  (静岡県志太郡岡部町岡部)
  地元の方と東海道の松並木談義?

しばらく歩き、岡部町役場のところで、県道208号線と合流する。さらに進むと東海道をしのばせる松並木がある。藤枝バイパスの高架をくぐり、右手の旧街道を進むと朝比奈川があり、横内橋を渡り、川原の堤防で休憩する。午後1時15分。自転車を押しながら地元の人が、『東海道を歩いているのですか?』とか『岡部宿の松並木が五十三次で一番美しいでしょう。どうですか?』などと聞いてくる。その人も東海道についてくわしい。ちょっとした松並木談義をした。

  「一里塚跡」の碑と須賀神社の大クスを見て…

旧街道を進み、国道一号線を横切り、さらに進むと江戸から四十七番目の「一里塚跡」の碑がある。須賀神社の大クスを見て、しばらく歩き、水守交差点で国道一号線を渡ると、藤枝宿は近い。水守交差点付近は土地区画整理事業を行っており、東海道がどこかわかりにくい。

  「東木戸跡」

すぐに「東木戸跡」があり、さらに右手に「成田山新護寺」がある。ここは、昔、親王が乗っていた車が壊れ、車を修理している間休息した場所であり、「左車山休息寺」とよんでいたという。

 東海道五拾三次 駿河国
 藤枝宿
 
 人口:4425人
 総家数:1061軒
 本陣:2軒
 脇本陣:なし
 旅籠屋:37軒

藤枝 [人馬継立]
 「人馬継立」とは、手前の宿から運ばれてきた荷物を、この藤枝宿で人足と馬を交代して、次の宿まで運ぶ、その交代をいう。
 
 「藤枝宿」
 藤枝宿は、田中藩の城下町であり、また交通の要衝であった。現在、宿場は、アーケード付きの商店街となっており、面影は全くない。
 藤枝宿、午後3時17分、到着。


  街道を行く

 日本橋から五十二里十二町
  (205.4Kmあたり)

  藤枝市さわやか通り商店街
  (静岡県藤枝市藤枝)

 勝草橋の少し手前、街道沿いに今日の宿がある。午後3時39分、宿に到着する。今日のコースは、後半、特に見どころがなく、疲れた。

  第十一日目 2007年2月12日(月)

    前日までの距離    187.4Km(299,869歩)
  今日のコース    丸子宿〜10.9Km〜岡部宿〜7.1Km〜藤枝宿
  今日の歩行距離  18.0Km(今日の歩数 28、817歩)
  今日の歩行時間  6時間54分(休憩、昼食、見学を含む)
     日本橋から       205.4Km(328,686歩)
     京・三条大橋まで、あと 317.9Km
《参考》
  今日の全所要時間(宿〜丸子宿〜藤枝宿〜宿)7時間4分
  今日の全歩行距離(万歩計換算)18.7Km
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