■セフィラ(天球)■ | ||
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No. | ヘブライ語 | エジプト9栄神 |
1 | ケテル(王冠) | オシリス(更新) |
2 | コクマー(知恵) | ホルス(進入) |
3 | ビナー(理解) | ゲブ(受容) |
4 | ケセド(慈悲) | バステト(収集) |
5 | ゲブラー(峻厳) | セト(結合) |
6 | ティファレト(美) | クヌム(生成) |
7 | ネツァク(勝利) | トト(解明) |
8 | ホド(栄光) | アヌビス(卓越) |
9 | イェソド(基礎) | アトゥム(総括) |
10 | マルクト(王国) | オシリス(更新) |
■「生命の樹」とは、「カバラ」という名の神秘主義思想で用いられる図像の一つである。「セフィロトの樹」とも呼ばれるその図は、上の画像にあるとおり、10個の円形と、それを結ぶ22本の線から成る。円形は「セフィラ(天球)」と呼ばれ、線は「パス(小径)」と呼ばれる。通常、10のセフィラは「王冠」「知恵」などを表すヘブライ語の単語の名で呼ばれ、22のパスは22のヘブライ文字(アルファベットのようなもの)の名で呼ばれる。またその一方でパスの方は、パスの数と同じ22枚ある「タロットカード」を対応させ、その名前で呼ばれることも多い。(正確にはタロットカードは合計78枚あり、22枚の「大アルカナ」の他に56枚の「小アルカナ」があるのだが、ここでは深くは触れない)
■「生命の樹が何を表しているか」については諸説あるが、当サイトでは生命の樹は、「万物が成長する際に辿る変化の、普遍的な共通性」を表したものであると解釈している。この解釈では10のセフィラは「成長するものの状態」を表し、22のパスは「成長するものが行う変化」を表している。あるセフィラの状態にある生物など「成長するもの」は、そこから伸びるパスの変化を経ることで、次なるセフィラの状態へと移行する。そして、より番号の大きいセフィラへ至るほどに、「成長するもの」はより高度な状態へと成長していくのである。
■当サイトが扱っている漫画作品「ジョジョの奇妙な冒険」では、第3部に22枚のタロットカード(大アルカナ)が題材として使われている。ジョジョでは第3部から「絵で描かれる超能力」、「スタンド能力」なるものが登場する。その能力の一つ一つが、タロットの名前で名付けられていると同時に、そのタロットの解釈に深く関連した能力を有しているのである。
■第3部の前半ではタロットの名前を持つスタンド能力しか登場しないが、後半からはそれに加えて、「エジプト9栄神」と呼ばれる9つのスタンド能力が登場する。エジプト9栄神は作中の言葉を借りると、「タロットカードの起源」とのことである。しかし一般に知られているタロットの歴史には、そのようなものは存在しない。当サイトではこのエジプト9栄神は、生命の樹の10のセフィラに対応するものであるとの考えを採っている。(ただしジョジョの作中には、「生命の樹」という単語や生命の樹の図像は使われていない)
■そして、『JOJO6251−荒木飛呂彦の世界』で公開された9栄神のナンバーを、セフィラのナンバーにそのまま当てはめたのが上のセフィラの方の表である。なお、9栄神の方が1つ数が少ないのは、生命の樹において1番目のセフィラ「ケテル」と、10番目のセフィラ「マルクト」が、実質同じものだからである。生命の樹において成長するものが辿る変化は大雑把に言えば、ある分野へと進入し、その分野の中の要素を取り込んで成長し、最後にその分野から脱出し、また別の分野へと進入する、その繰り返しによって行われる。その「進入前」の状態を表すのが一番上の「ケテル」、「脱出後」の状態を表すのが一番下の「マルクト」であり、つまりこの2つは同じものである。また余談だが、筆者が所持している版のジョジョ20巻P124・P138では、「ゲブ」のカードのナンバーが「5」になっているが(「JOJO6251」では 「3」)、これは5番目の正式なセフィラ名である「ゲブラー」との混同による誤りであろう。