オシリス神 OSIRIS:農耕の神
Sephirah-No.1&10

2016/06/25公開

本体名:ダニエル・J・ダービー

ギャンブラー、テレンス・T・ダービーの兄

能力:賭けで負かした相手の魂を奪う

スタンド形成法射程距離パワー
オシリス神 身体・能力作業体 数m
魂のコイン 停止擬物質

当ページの要点

  • ジョジョ3部に登場するスタンドは全て、「生命の樹」と呼ばれる図形に関係している。
  • エジプト9栄神のカードのNo.1であるオシリス神は、生命の樹のセフィラのNo.1(と10)に配置される。
  • オシリスのセフィラは成長するものが、成長の場から離れている状態を表す。
  • オシリス神は他者の肉体から魂を引き離し、固めて保存する。

セフィラ解説

ジョジョ3部に登場する22枚の「タロットカード」は、占いの道具としてよく知られ、それぞれのカードにはさまざまな解釈が与えられている。そしてその解釈法の1つに、『生命の樹』と呼ばれる図像を絡めたものがある。生命の樹とは、宇宙・生命・人類・個人など、この世界の中で進化・成長する全てのものが、成長する際に辿る変化の共通性を図像化したものである。「セフィロトの樹」とも呼ばれるその図は、「状態」を表す10個の円形「セフィラ」と、円形同士を結び「変化」を表す22本の小径「パス」から成り、タロットはパスの方に対応している。

一方、第3部後半には「エジプト9栄神のカード」なるものが登場し、こちらはセフィラに対応している。そしてセフィラの1番目にして10番目でもある「オシリス」は、「更新せしもの」を暗示するカードである。(なお「オシリス」という名称は、セフィラをエジプト神話の神々に対応させたジョジョでの独自名称であり、正式なセフィラ名は1番目が「ケテル」(Kaether:王冠)、10番目が「マルクト」(Malkhut:王国)である) 

生命の樹において成長体が辿る変化は大雑把に言えば、ある分野へと進入し、その分野の中の要素を取り込んで成長し、最後にその分野から脱出し、また別の分野へと進入する、その繰り返しによって行われる。その「進入前」と「脱出後」の状態がオシリスである。ゆえにそのセフィラは生命の樹の最上部と最下部に位置し、始まりと終わりを繋げる役割を持つ。基本的にオシリスは「一時的な通過点」である場合が多く、例えば引っ越しでは元の住居から新しい住居へ荷物とともに移動している時がオシリスの状態となる。その一方で、旅人が各地を転々と回るような場合には、その者はずっとオシリスの状態であるといえる。

成長体にとってオシリスの状態は、全セフィラの中で最も成長に適さない状態である。なぜならどの分野にも踏み込んでいないということは、腰を据えての成長を行えないということを意味するからである。例えば人がある職種の仕事を覚えるには、その職に就くのが一番であり、外野からその職場をどれだけ見学しようとも得られることには限界がある。効率的な成長には一にも二にも、分野への進入が不可欠なのである。

しかし一方でオシリスには、他のセフィラにはない長所もある。それは、何ものにも縛られていない自由さゆえに、数多の分野を広く浅く見て回れ、その数多の選択肢から自分が次に挑むべき分野を見つけ出し、機を逃さずそれに挑めることである。成長に適さないオシリスはその逆に、成長開始前の状態としては非常に優れているのである。そして開始すべき分野へと「進入」することで成長体は、2番目のセフィラである「ホルス」の状態へと変化することになる。

スタンド解説

■他者の「魂」を掴んで肉体から引きずり出し、その魂を「コイン」に変える能力を持つ人型スタンド。その姿は本体のダービーに仕える怪力の召使いといった風体で、ジャガイモのようにゴツゴツと膨らんだ大きな顔にジャガイモの芽のようなおちょぼ口、太身の胴体と短い足、浮き出た血管に覆われた太い腕に、吸盤状の指先を持つ。またその後頭部や肩は、ダンゴムシのような殻に覆われている。(ただしその屈強なスタンド体は魂の強奪にのみ特化しているため、物理的に物を破壊するなどのパワーはおそらくほとんど無い) ギャンブラーであるダービーは、世界中を旅して強者と「賭け」をして、負かした相手の魂をこのスタンドで奪ってコインに変え、コレクションすることを生き甲斐としている。

■オシリス神が他者の魂を奪うためには1つの条件がある。人間同士の精神力は多少の上下差はあれど基本的に対等であり、いくら魂の強奪に特化したスタンド体を持とうと、無条件に相手の魂を奪い取ることはできない。このためオシリス神が魂を奪うには、相手の魂のエネルギーが何らかの理由でゼロ近くまで落ちた瞬間を狙う必要がある。そしてギャンブラーであるダービーは、この条件を確実に満たす瞬間を作り出すため、まず相手に対してポーカーなどの勝負を挑み、賭けるものが「魂」であることを了承させ、その上で相手を負かして精神的に屈服させ、魂を奪い取るという手法を採る。

■賭けでダービーに敗北した者の魂は、オシリス神の10本の吸盤の指に掴まれて肉体から引きずり出され、太い腕で粘土のようにこね回され、仕上げに力一杯叩き合わされる両掌にプレスされて、「コイン」の形へと加工される。コインにされた魂は一切の精神活動を停止させられ、かたや魂の抜けた肉体の方も一切の活動を停止し「死んだ」と同じ状態になる。その者を生き返らせる方法は1つ、生命活動を停止した肉体が腐敗などしてしまう前に、魂を奪われた者の家族や仲間が「自分の魂」を賭けてダービーと勝負し、勝って魂を取り返すしかない。

■「魂のコイン」は精神活動の停止により擬似的に物質化しており、コインの表面には元の人間の顔が目を閉じた状態で浮き彫りにされている。(またこのコインは必要に応じて金太郎飴のようにスライスして複数枚に分割することもできる) この物質化はダービーが眠ったりしても勝手に解けることはなく、何年でもそのままの状態で保管できる。コインの物質化が解除されるのは、ダービーが賭けに負けて、相手(つまりコインにされている魂の家族や仲間)に魂を返す時か、ダービーが何らかの理由で自分から魂を解放する時だけである。

■なおオシリス神は上述したように、相手の魂のエネルギーをゼロ近くまで落とせば魂を奪うことができる。そしてその性質からダービーは、賭けをする相手に「深く信頼し合う者」がいて、しかしその場にいない時には、相手に直筆の証文を書かせるなどしてその場にいない者の魂を賭けさせることもある。その勝負に勝った場合ダービーは、証文を持ってその者の元へ向かい証文を見せ、その内容に納得し無抵抗となった相手から魂を奪うことになる。ただしこの事後承諾の手法は、その者たちの信頼関係がダービーの見立てほど強くなければ失敗し、また信頼が強くとも相手の考え方次第では失敗する。そのため実際のところこの手法がどれほどの確率で成功するかは不明である。

内部リンク

『アトゥム神』
9番目のセフィラのスタンド。本体はダニエル・J・ダービーの実弟テレンス・T・ダービー。オシリス神と似た「魂を奪う」能力に加えて、他者の心をYES/NOの2択で読むこともできる。