<御詠歌>
月も日もいと清明の堂なれば
西にぞ見ゆる極楽の山
下条方面から栗矢村に入る古道の傍らに賽の神である
道祖神がある。そこに
法力社の森があり、境内の東に接して
清明堂があった。近年この森を伐採したため、現在は見晴らしの良い草原になり、夏の盛りにはシダが茂っていた。その周りは果樹園であり、伍和地区らしい風景が広がっている。
本尊は
聖観世音で簡素な厨子に納められている。両脇に
石仏が安置されており、いずれも屋内のため保存状態がよい。
向かって右側の石仏(千手観音か?)には廿三番と彫られている。おそらく下条方面から上ってくる道端にあった
三十三所観音石仏の一体であろう。三十三所観音石仏は栗矢の
薬師堂境内に集められているが、廿三番は欠番になっている。
更に向かって左側の木の箱には、磨製石器を思わせる細長い花崗岩が納められている。あるいは、男根を模した棒石か?
このお堂は、屋号「
笠田」の井原氏が個人で管理されているそうである。
驚かされるのは、堂内には数多くの
絵馬が奉納されており、左右の側面と正面奥の一面に飾られていることである。
絵馬の絵柄は彩色された女性の姿が目につき、文字のものは「
南無清明観世音」と書かれているものが多い。聞くところによると、
安産や乳の出が良くなるようにという祈願が込められているようである。
(撮影 2004.8.14)
(参考)
→ 『阿智村誌』下巻 p.792
→ 『探史の足あと』 p.101
栗矢の道祖神碑
→
阿智の産土神 より 「
法力社」