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 法力社

  所在地(氏子):阿智村伍和栗矢(木下氏)

  祭神:若宮霊神
     
 頭蓋骨を御神体とする社で、栗矢の木下一族が、毎年4月に扉を開いてお祭りを行っている。由緒については、次のように伝承されている。

 昔、この村を訪れた山伏が村人と争いになった。山伏は荒縄で縛られた上、簀巻きにされて半死半生のまま土中に埋められた。山伏はオーオーと大声で数日うめいていたあげく死んだという。一説には柿架(はざ)に逆さ吊りにして殺されたという。
 何年か過ぎて村に伝染病が流行した時、その病気の熱にうなされた一人がうわごとを口走った。
「俺は、おまえ達になぶり殺しにされた山伏だ。俺も悪かったが、生き埋めとは残忍だ。まだ俺の手足は縛られたままだが、このままにしておくようなら、村中皆殺しにしてやるぞ。」
 村人が驚いて山伏を埋めた場所を掘り返すと、木の根に巻き付かれた骸骨と錫杖が出てきた。村人は丁重に骨を拾って祀り、法力社と名づけた。

 尚、祭礼の時立てる社旗には、明治2年と書かれている。

 近年、法力社の森は伐採され、周囲はすっかり見通しがよくなった。昔の様子を知る人達は、風情がなくなったと感じるようだ。
 (撮影 2004.8.14)

(参考)
 → 『阿智村誌』下巻 p.745
 → 『探史の足あと』 p.101
          栗矢の道祖神碑
 → 「札所一覧」 より 「清明堂
 
法力社正面
盃状穴のある手洗い
道祖神、法力社、清明堂