Living54 【化学物質調査】 08/23/2004

House+ing > Living


家を建てるに当たってHydeもKumadonもそれほどシックハウス症候群について神経質ではありませんでしたが,特記仕様書には「内装仕上げ材,下地材等の室内に影響が高い部分には,ホルムアルデヒド及び揮発性の有害物質を拡散しない材料若しくは拡散量の少ない材料を使用する.」との記載がありましたし,施工過程を見ていた限りでは合板等はFc0(JAS規格)を使用されていました.
また,室内のクロス張りは一部でしか採用されておらず,多くはタナクリーム仕上げですので,建材に関してはシックハウス症候群に原因となりそうな化学物質は少ないのではないかと思っています.
しかし建具の塗装時にはかなり”いいにおい”が充満していたので,塗装された建具から揮発性有機化合物が拡散しているかもしれません.
今まで1年間ちょっと新居で生活してきて特に不具合を感じたことはまかったのですが,無料でできる化学物質調査があると聞きまして,早速申し込みしてみました.
この調査は財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターが行っているもので,室内空気環境に関する実態調査のモニター募集のページから申し込みをすることができます.

測定条件等
測定期間 2004/08/23 0:55 〜 08/24 1:50 (計24時間55分)
天気 概ね曇り
温度・湿度 25℃ ・ 60% (2004/08/24 14:00頃 エアコンのリモコンで確認)
測定箇所 2階LDK
主な床の仕上げ フローリング(板貼り)
主な壁の仕上げ 塗り壁(タナクリーム)
主な天井の仕上げ 塗り壁(タナクリーム)
自動換気装置 なし
その他の換気装置 ハイサイドライト設置の換気扇2機を連続運転
窓の開放 なし
冷房機器の使用 3時間以下
喫煙 した
調理 した
飲酒 しなかった

Photo Image
WEB上から申し込みをしたら,1週間程で測定キットが送られてきました.
測定バッジは2種類あり,バッジFがホルムアルデヒド・アセトアルデヒド用,バッジVがトルエン・エチルベンゼン・キシレン・スチレン用です.
その他,実態調査のお願い・測定のすすめ方・実態調査票・測定結果報告書兼実態調査票回答用紙・記入例・カード型温湿度計・返信用封筒が同封されていました.

Photo Image
測定のすすめ方に記載されている通り2種類のバッジを設置しました.
2種類のバッジは同一条件で測定する必要があります.
写真左がバッジF,右がバッジVです.
この面は裏面で,表面はスポンジのようになっていて,そこに空気中の化学物質を吸着させるのでしょう.
測定場所は家族が最も長い時間を過ごす2階のLDKにしました.

Photo Image
設置場所は,壁から1[m]以上離れた場所で,高さは1.2〜1.5[m]程度のところである必要があるので,床からの高さが約1.5[m]になるように3枚引き戸の梁から測定バッジを吊しました.

約3週間程で結果が送られてくるそうですので,到着次第報告します.

揮発性有機化合物
(沸点:℃)
毒性指標 室内濃度指針値(25℃) 我が家の
測定値
Add
ホルムアルデヒド(-20) ヒト暴露における鼻咽頭粘膜への刺激 0.08ppm 0.02ppm
アセトアルデヒド(20) ラット暴露における鼻腔嗅覚上皮への影響 0.03ppm <0.01ppm
トルエン(110) ヒト暴露における神経行動機能及び生殖発生への影響 0.07ppm <0.01ppm
キシレン(144) 妊娠ラット暴露における出生児の中枢神経系の発達への影響 0.20ppm <0.01ppm
エチルベンゼン(136) マウス及びラット暴露における肝臓及び腎臓への影響 0.88ppm <0.01ppm
スチレン(146) ラット暴露における脳や肝臓への影響 0.05ppm <0.01ppm
【追記】 10/04/2004Add
10/02/2004になってようやく《測定結果報告書》を受け取りました.
報告書には分析機関理事長名で押印があり,日付も記入されていたのですが,その日付は何と09/08/2004になっています.
1ヶ月近く到着が遅れたのはなぜなんでしょうね?
日付を入れた後発送が遅れたのか? 郵便局の配送の問題か?
あまりに到着が遅れているので(約3週間で結果が送られてくるようなこと書かれていたので…),結果が到着する前日に文句の確認のメールを入れてしまったんですよね….

…で結果ですが,いずれの揮発性有機化合物も厚生労働省が公表している室内濃度指針値を下回っていました.
我が家のLDKの壁や天井はタナクリーム塗りなので,こちらから揮発性有機化合物が発散されるとは考えにくいのですが(一応下地材もFc0使っていたし…),造り付け収納の表面・窓枠・引き戸等のはウレタン塗装されています.
この塗装された面積はかなりのものですので,出るとしたらこちらからだろうと思っていたんですが,意外に出ないものですね….
塗装している最中に現場見学に行った時にはかなり臭っていたんですが(Building34 【浴槽タイル下地・木塗装】Building35 【内壁・浴室タイル・木塗装】参照),1年も経てば出尽くしちゃったということかな?
一番最近行われた塗装は,04/29/2004のリビングの3枚引き戸(Building59 【建具塗装・シーリング】参照)で,塗装後数日間は室内でも臭いを感じていたのですが,これも約4ヶ月経過しています.
その他の持ち込み家具(食器棚×2)やHa-chanのおもちゃなどからも出ている可能性はあると思いますが,トータルしてみたとしても低い値であったということですのでひとまず安心できました.
今度機会があったら子供部屋で測定してみたいな〜.
壁はMDF張りなので,こちらの方が出る可能性が高いかもしれません.
昨年建もの探訪会メンバーのProject Esuさんが調査を行い,今年になってsyrnのページさんや我が家のPalconさんらが調査を行い,ホームページ上で結果を報告なさっています.

ps.
VOC(Volatile Organic Compounds)とは揮発性有機化合物のことで,WHO(世界保健機構)による分類では沸点が50〜260℃の有機化合物の総称です.
VOCの中にはエチルアルコール(沸点:78.3℃)のように人体に無害とされている物質も含まれています.
逆に,ホルムアルデヒド(沸点:-20℃程度)やアセトアルデヒド(沸点:20℃程度)はVOCより低沸点で,VVOC(Very Volatile Organic Compounds)に分類されます.
シックハウスの原因=VOCと考えられがちですが,VOC以外にもシックハウスの原因となりうる物質は複数あります(VVOCもそうですし,いわゆるハウスダストも原因と考えられています)ので,今回の測定結果だけで我が家がシックハウスであるかないか判断することはできないでしょうが,一つの指標とはなると思っています.

シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会中間報告書−第6回〜第7回のまとめ についてには,各化合物の一般的性質・健康影響・指針値をはじめ,シックハウスに関する様々な情報を得ることができます.
また,各化合物の諸性質は化学物質安全情報提供システムから検索できます.

Back Top Next

Copyright (c) 2002-2009 Hyde@House+ing All rights reserved.