「内村鑑三」について

内村鑑三は、1861年(明治維新七年前)3月23日、江戸小石川に生まれています。
父の宣之は、砲術や西洋式軍隊といった洋才を身につけているのと同時に、 儒教倫理と武士道が彼の精神の骨格を担い、子供達には徹底した儒教的精神を注入したため、 内村鑑三も二つの精神が共存した『武士の子』として、育ったようです。

13歳の1874(明治7)年に、東京外国語学校へ入学、1877(明治10)年に、太田(新渡戸)稲造と宮部金吾の親友と 共に、札幌農学校第二期生として入学し、翌年、メソヂスト教会宣教師のM.C.ハリスより、洗礼を受けています。

1881(明治14)年の札幌農学校の卒業式では、内村鑑三が卒業生代表として演説し、この演説を聴いた人が後に、 「内村鑑三の言葉が終わると、聴衆は水を打ったように静かで、すすり泣きの声だけが聞こえ、 一同は拍手をするのも忘れ、感激と緊張は最高潮に達して、たとえ一本のピンが床におちても、 たやすくその音が聞こえたであろう。」と言ったことからも分かるように、内村鑑三は、この頃既に、 魔力ある演説をしていたようです。

そして、札幌農学校を卒業後、開拓使御用係(後の札幌県御用係)、農商務省農務局水産課に勤めますが、 1884(明治17)年には役所を辞職し、同年11月に、米国に自費留学。
1886(明治19)年には、アマスト大学へ留学しています。

そこで、J.シーリー総長から、「ミスター内村!あなたは、あなたの内を見るからいけない。
あなたは、あなたの外を見なければいけない。なぜ己れを顧みることをやめて、十字架の上に君の罪をあがなった、 イエスを仰ぎ見ないのか。
あなたの行動は、子供が植木を鉢に植えて、その成長をたしかめようと、毎日その根を抜いてみるのと同じです。
なぜ、神さまと太陽に委ね、安心してあなたの成長を待たないのか!」と言われ、回心したそうです。

そして、1887(明治20)年にアマスト大学を卒業し、1888(明治21)年に帰国して、1891(明治24)年に 第一高等中学校で勤務していた際、「教育勅語(きょういくちょくご)は、宗教性を帯びる。」と判断して、 偶像崇拝を否定するキリスト教の信念に従い、軽く会釈する程度の敬意を表すことにとどめたところ、 生徒及び教員の一部から、「内村鑑三の行為は皇室に対する不敬である。」との非難が発生し、 『不忠の臣』『外教の奴隷不敬漢』とののしられ、新聞報道等によって一挙に社会問題『不敬事件』となり、 同年2月3日に病気を理由に同校を依願退職しています。
「内村鑑三の行動が世の中には合っていない」とされましたが、偶像礼拝に対して、体を張って否定した姿勢は、 クリスチャンとして見習うべきところではありますね。

しかし、内村鑑三は『無教会主義』を創唱しましたが、『共に祈っている所にイエス様が共おられ、 キリスト教会で心を一つにして、共に礼拝をすること』を、イエス様が望まれていることですから、 『無教会主義』を創唱しなければならなかった時代、イエス様は悲しまれたでしょうね。

「内村鑑三が直面していた時代は?」と言えば、国内では、富国強兵(国を富ませ、軍事力を大きくして、 国の勢力を強めること)や、殖産興業(生産をふやし、産業を盛んにすること)を目的に『日清&日露戦争』や、 民衆の被害を軽視した『足尾鉱毒事件』に直面し、国外では、「第一次世界大戦」に突入した時代です。

内村鑑三は、足尾鉱毒事件で鉱毒反対運動に関わり、日露戦争を機に『非戦論』を展開する等の 社会運動家として活動。

晩年は、聖書に関心を深めて、1900(明治33)年9月に、『聖書之研究』を創刊し、1901(明治34)年には、 『無教会』を創刊(1902年8月まで)し無教会主義を創唱。

生涯、平信徒として聖書の研究と執筆活動を続けて、1918(大正7)年には、キリスト再臨信仰に基づく再臨運動を 開始し、1930(昭和5年)3月28日に死去しました。

内村鑑三の墓碑銘となったアフォリズム(物事の真実を簡潔に鋭く表現した語句/警句/金言/箴言)は、 『 I for Japan. Japan for the World. The World for Christ. And All for God. 』です。
8歳で明治維新を迎え、日本という国家形成の定まっていない時代を生き抜く中で、 『社会運動』や『無教会主義』といった思想と信仰が形成されてしまったのではないでしょうかね。

「私は、クリスチャンです。毎週○○キリスト教会で礼拝をしています。」と、 自由に、告白できる時代に生活できる私たちは、本当に幸せですね。

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