「新約聖書」について

「新約聖書」(日本聖書協会)
・「神はかつて預言者たちによって多くのかたちで、また多くのしかたで先祖に語られたが、 この終わりの時代には御子によってわたしたちに語られた。」
「ヘブル人への手紙」冒頭(1:1, 2)のこの句は、新約聖書全体を巧みに要約している。
アブラハム、モーセ、預言者たちを呼び出し、イスラエルの民の長い歴史を通して自らを知らせた 生ける神は、民との完全な出会いを実現し、エレミヤが告げた新しい契約を結ぶため、 ついにその独り子を送る。
「ヨハネの福音書」はこの独り子を紹介して、「わたしを見る者は、わたしを遣わされた方を 見るのである。」(ヨハネ 12:45)
というイエスの言葉を伝えている。
新約聖書はまさに、イエス・キリストを通して与えられる神と人間との決定的な出会いと、 各人にとってのその意義を物語る書である。

比較的短い27の書物は、福音書、「使徒の働き」、手紙、「ヨハネの黙示録」から成っている。
  福音は、イエスがもたらした決定的救いの恵みであり、福音書は、このイエスがその短い生涯で行い、 教えたことを伝え、イエスの死と復活を語る。
これは伝記というよりも、イエスによって生きた人々の証言の記録である。

「マタイの福音書」は、ユダヤ教から改宗したキリスト者に特に留意して編集されている。
ここにはイエスが旧約の約束と待望の成就であることが力説され、イエスの教えは、 五つの大説教(5〜7章、10章、13章、18章、24〜25章)のかたちで紹介されている。

「マルコの福音書」は、異邦人の改宗者を対象としており、福音の言葉によって絶えず働いている イエスに従うよう、人々を招いている。

ルカは、「ルカの福音書」と「使徒の働き」の著者である。
前者はギリシア文化に親しんでいる読者に向けられており、ユダヤ人のみならず、すべての人の 救い主であるイエスが、特に弱い者、小さい者や罪人(つみびと)に近づいてこれに福音を語ることが 強調されている。
また、エルサレムで十字架にかかり、復活するためにエルサレムに上るイエスの姿を伝えるが (9:51〜19:27)、この死と復活の神秘こそ、地の果てまで告げ知らされる聖書の救いの 使信の核心である。

「使徒の働き」は、イエスがもたらした救いの告知がペトロ、パウロなどによってエルサレムに始まり、 サマリア、シリア、ギリシアから、ローマまでに広がる経過を描いている。

「ヨハネの福音書」は、読者がイエスを神の独り子と信じて永遠の命を得るように記され、 イエスの言行のうち特に意味深いものを伝えようとしている。

パウロの手紙は、彼が創設した諸教会、訪ねようと思うローマのキリスト教徒、 あるいは彼の協力者にあてられたもので、手紙の配置は、年代順ではない。

「ローマ人への手紙」は、神の恵みの力、罪人である人間の姿、信仰による救い、 信仰者の新しい生き方、死んで復活したキリストとの一致、また聖霊による新しい生活等、 パウロの説教の重要な主題を扱っている。

「コリント人への手紙」は、パウロが一年半滞在して創設したコリントの教会にあてられている。
その中の「第Tの手紙」は、彼の出発後分裂した共同体を一致させ、提起された諸問題に答えている。
よく知られている「愛の賛歌」は13章に見られる。
「第Uの手紙」は、パウロの不在中に反対者が現れたコリント教会の危機時代をかいま見せ、 パウロの和解の熱意と和解に続く大きな喜びが知らされる。
パウロは本書でエルサレムの教会への献金を勧めているが、後半の数章(10章〜12章)は パウロの心を示す自伝的なものである。

「ガラテヤ人への手紙」も、異なる信仰の危機への応答であり、パウロは、キリストがもたらした 新しい契約の特長と情熱を傾けて語る。

続く三つの手紙と「ピレモンへの手紙」とは、パウロが牢獄で書いたものである。
まず、「エペソ人への手紙」はユダヤ人、異邦人を問わず、キリスト者はすべてキリストに一致して、 キリストの体を形づくっていることを説明したのち後半では、この一致を日常生活の中で生きるように 促している。
ピリピはパウロが創設した西洋の最初の教会であり、「ピリピ人への手紙」には援助への感謝が 述べられている。
パウロは獄中にあっても、キリストによる喜びと信頼とに満たされており、喜びの手紙といわれる。

コロサイはエペソの東方の町で、キリスト教の共同体はパウロの弟子によって創設された。
パウロは「コロサイ人への手紙」の中で、種々の宗教思想によって惑わされているキリスト者を 助けるために、救いにおけるキリストの卓越した役割を説く。

「テサロニケ人への手紙 第T」は、パウロの最も初期の手紙で、未熟で迫害にさらされている 信者たちを力づけるために書かれている。
「第Uの手紙」は、キリストの再臨を見られないのでないかとの不安を抱くキリスト者に こたえている。

「テモテ」と「テトス」はパウロの協力者で、パウロは彼らに託された教会をよく指導するよう励ます 三つの手紙(「テモテへの手紙T、U」と「テトスへの手紙」)を送る。
「ピレモン」はパウロの友人、協力者であり、獄中のパウロは、主人のもとから逃亡し 自分のところでキリスト者となった、ピレモンの奴隷オネシモを兄弟として迎えるよう勧告する。

「ヘブル人への手紙」は、長い勧告の書であり、旧約聖書を引用しながら、キリストが預言者、 天使、モーセにまさること、またその祭司職は旧約のそれをはるかに凌駕することを指摘し、 よく知られる11章には、信仰のすばらしさが述べられている。
本書がどこで、だれにあててしたためられたかは分かっていない。
続く手紙のうち、「ヨハネの手紙 第U、V」以外は、キリスト者全体にあてられている。
「ヤコブの手紙」は、信仰生活の実際的側面、特に共同体内での人間関係や家の問題に指針を与える。
「ペトロの手紙 第T」は、迫害によって失意のうちにあるキリスト者を勇気づけ、 「ペトロの手紙 第U」と「ユダの手紙」は、異端に対して信仰を純粋に保つよう求める。
「ヨハネの手紙 第T」は、キリスト教の本質である愛を語る。
この手紙と「ヨハネの手紙 第U、V」は、神の子の受肉を否定する説に直面しているキリスト者の 信仰を強める目的で書かれている。

新約聖書は、人間を救う神の計画が、キリストの輝かしい再臨に向かって、どのように完成されるかを 象徴を用いて示す「ヨハネの黙示録」で終わる。
これは迫害の下に苦しむキリスト者を励ます書である。

読者がこの聖書を通して,生ける神と出会い,日々の生活の中で救いを見いだせるようにと 祈ってやまない。

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