「どのようにして」について
1世紀に、製紙術が中国で発明されて、紙を生産していましたが、絹の場合と同様に、製紙技術が、
シルクロードを通ってヨーロッパに伝わったのは、ずっと後のことですから、当初、弟子たちによって、
語り継がれた主(イエス様)の出来事も、口承(口から口へと語り伝えること)・
伝承(伝え聞くこと。人づてに聞くこと。)として形を整え、少しずつ文書化されていったようです。
なお、中国に近い日本では、紙や木版印刷が早く伝わったので、法隆寺には、
『百万陀羅尼(ひゃくまんだらに)』という世界最古の印刷物が、保存されています。
わずかの文字とはいえ、紀元770年に印刷されたもので、9世紀には木版印刷の仏典が出回っていますが、
高価なため、普通の文献の保存は、日本でも16世紀までは『書写』によったと、言われています。
さて、主(イエス様)の時代には、パピルスと獣皮(羊皮等)は在りましたが、やはり、獣皮は高価だった為、
パピルスのほうが好まれたようです。
パピルスの素材は、ナイルに繁茂する同名のカヤツリグサの一種で、太さは子どもの腕ぐらい、
長さは5〜6メートルで、その茎(クキ)で巻物に仕上げましたが、
巻物は、長くても12メートルが限度だったそうです。
ですから、『新約聖書』の場合、長いものでも、1巻が11メートルぐらいに収まっていて、
『ルカの福音書』と『使徒の働き』は、明らかに同一人物(医者ルカ)によって記された連続物ですが、
巻物の長さの限度によって、2つの文書として扱われたのではないかと、言われています。
パピルスは、素材が手軽に入手でき、比較的安価で便利でしたが、もろくて湿気に弱いため、
エジプトのような乾燥地でなければ長期保存は困難ですから、保存には苦労したでしょうね。
また、パピルスの巻物は、もろいだけでなく、いつも両手に持って開かなければならず、朗読者が、
必要なところを開くのにも不便なため、2世紀には、パピルスを2つに折って、
中綴じにした『綴じ本』も出はじめましたが、パピルスの裏は繊維が縦に入っているため、
文字をきれいに書けないという難点もあったようです。
4世紀になると、獣皮の保存の良さ、『綴じ本』にしても裏表ともスムーズに使え、先に書かれたものを削り落として、
再利用することもできる等の利点が高く評価され、獣皮が主流となっています。
しかし、日用の書類には、速記体の小文字はありましたが、著作物や写本には、大文字のみを用いていて、
書写のために、筆記体や小文字が使用されるようになったのは、9世紀になってからでした。
さらに、15世紀にドイツ・マインツのヨハネス・グーテンベルクが、活版印刷技術を用いて印刷した、
世界初の『印刷聖書(グーテンベルク聖書)』が発明されるまでは、中近東やヨーロッパのさまざまな場所で、
書写生たちが、一言一句を丹念に書き写すことによって、後世に伝えられた訳ですから、
このような先人たちの努力に対して、感謝を忘れないようにしたいですね。
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