庚申講の掛軸

 「庚申」という石碑は路傍などでよく見かけますし、伍和河内の旧下条街道ばたの斗字庚申の石碑は、日本一の大きさといわれ、多くの人に知られています。

 庚申信仰は江戸時代中頃には農村にも浸透して庚申講ができ、60日ごとに回ってくる庚申の日の夜は、当番の家へ集まって庚申様(青面金剛童子)の掛軸をかけ、庚申の呪文「オンコシンレイコウシンレイ、マイタリマイタリソワカーダ」をくり返し称えたり、四方山話をしたりして一晩中眠らずにおつとめをしたといわれています。
 眠ってしまうと、体の中にいる三尸(さんし)の虫がぬけ出して、その人の罪過全部を天帝に告げてしまうので寿命が縮まるというもので、道教にもとづくといわれます。

 写真は庚申の掛軸で、中央上部に4本の手をもつ青面金剛童子が鬼を踏みつけて立ち、両側に童子、上部に日月、下方には「見まい聞くまい語るまい」の3匹の猿と2羽の鶏、白黒青黄の鬼(薬叉)が描かれており、この軸を入れる当番箱には天保10年正月の日付と6人の講員名が書かれています。 (H8・6)

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