智里中平の無量寺(廃寺)の墓地で、何とも小さく、かわいい馬頭観音像を見つけました。台座から光背が一石で、高さが33p、巾18pですから、本尊の身丈は20pそこそこです。
大正元年十月十五日と刻まれていますからごく新しい石仏ですが、ロバのような大きな耳をもった馬を頭上に戴いたこの観世音の面立ちは童顔で、ちゃんちゃんこのような衣をまとい、その衿の下に手首をくぐらせたようにして合掌をした両手があどけなく感じられます。
台座に何やら刻字がありますが、「赤毛」又は「青毛」と馬の呼び名に読めそうでもあり、施主の名かとも思われますが充分判読ができません。
無量寺は小野川の関所の近くにあった寺で、仏像等は中平の集会所に納められていますが、気品のある仏頭が傷ましく焼け残っています。この石仏も間もなく雑草に覆われて見えなくなることでしょう。 (S58・4)
→ 『探史の足あと』 p.63
無量寺のたたき鉦
→ 『探史の足あと』 p.64
無量寺の古仏頭