ずっと、側に


 黒崎壱哉。

人間でありながら、悪魔となるにふさわしい魂の持ち主。
魔王ザヴィード様の命により、僕は奴を陥れた。
人間のくせに、驚くほど、悪魔らしい思考を持つ男。
僕の姿に怯えることもなく、
時には、からかうことさえした、忌々しい男。

契約の三十日間が過ぎ―――。
あいつは、見事に悪魔へと転生を果たした。
あの、吸い込まれるような漆黒の魂。
そして、闇でありながら強すぎるエナジーは、毒だ。
僕は、ずっとそう思っていた。

それから、少しの時間が流れ。
あの男の闇は、変わった。
触れるものを取り込んで、自分の色に染めるようだった魂は、
輝きを変えていた。
そう、例えるなら‥‥‥
闇色の蜘蛛の糸で織り上げた美術品ような。
美しく、繊細で、しかしどこか儚く、脆い。
触れれば、全てが崩れ落ちてしまいそうな、そんな闇。
あいつの闇が変わった理由は、わかっていた。
あいつが、悪魔になるために手に入れた、魂。
あいつの中にある魂が、主であるはずのあいつの魂を変えた。


そう、あいつの闇色の魂に寄り添う、魂の色は‥‥‥。




暖かく照らす、灯火のような赤

力強く芽吹く、新芽のような緑

全てを包み込む、新雪のような白