⑤風景表現(雑草)・・・土は何色?地肌は見せない:色付けは水性絵具と草材
主な材料:水性絵具、草材
主な工具:筆、スポイト、木工ボンド(ボンド溶液)

さてここから風景作りです。土の色は何色ですか?草は緑一色ですか?よくありがちなのは、土を茶色に塗って、草が生えるところを緑に塗ってしまうことです。そうすることを 作業手順にしている記事もありますが、ここでそんな必要はありません。実際の風景を良く観察してみてください、乾いた土は殆ど白色、乳白色(ディザート)といったところです。 草はいろいろな雑草が生えていますから、緑の濃さは様々です。枯れた草も混じれば、白っぽい草も多いです。そしてなにより、地面の大半は雑草で覆われています。地肌の出ている のは耕したばかりの畑か、整地したばかりの埋め立て地の人工的な土地くらいです。ここで作る風景は自然の土地(人為的かもしれませんが放っておかれた土地)を想定すると、 地肌が出ているのは草が剥げた小道(けもの道)か、土が悪い(少ない)ことで草が生えない所です。具体的には人が頻繁に通るところや、線路脇、万年日陰なところということ になります。
そう、地肌は草の無い状態で表現します。そして地肌のベースは白でいいのです。でもまあ真っ白では 雪景色のようですので、地肌が出そうな上述の箇所はほんのり茶系に汚しておきます。土色(緑、黄、茶を調合したヘドロ色)の水性絵具(画材屋で購入)一色を淡い水彩画の要領で塗ります。 石膏は吸収性が高いので、殆ど水のようにごく薄く溶いた水性絵具を、少しずつ染み込ませて濃淡を付けるようにします。濃すぎると白に戻すのは石膏の塗り直しになりますし、 塗らなくても良い(ウェザリングで表現できる)くらいのことですので、兎に角、薄く、白い石膏を大半残すのが良いと思います。
[土色の汚し]
次に草撒きです。色気ないジオラマから一気に風景全貌が見えてくる重要な工程です。材料はジオラマ専用の草材を使います。そして少し特殊な工具( スタティックグラスアプリケーター)を使う方が格段にリアル感 が向上しますので、自作にトライしてみて下さい。(写真は、細かく撒ける様に小さい可動型の籠に改良)
良く耳にする撒き方は、濃い緑から順に薄い緑を重ねていくという方法です。その方がリアル感が出るというのですが、どちらかというと逆と思います。 地肌の色もそうですが、濃い色を先に置いてしまうと淡い部分を作るのは大変な作業になることは容易に想像できます。濃緑の草材は、雑草の味付けに少しだけ使う方が印象付けでき、リアル な感じも出せます。 但し、夏の真っ盛りを表現したいという場合や森の樹木には濃緑をベースにすることもあるかもしれませんが、得てして市販の草材の着色は緑の濃い傾向ですので、濃緑(ダークグリーン) の材料を使うことはほぼありません(故意に暗いイメージのジオラマにしたいとは思わないので)。
[濃緑なしでも夏盛り]
草材かから紹介します。まず基本と言われるカラーパウダー(左写真)です。特に一番薄い黄緑色(左手前2色)を最も多く使います(紹介したジオラマで大さじ一杯分程度ですが。。)。 薄茶と黄緑(中央奥2色)はアクセントに使うくらいで、緑や濃緑(右手前2色)は使いません。(ちなみに右奥に黒く見えるのは、ネットで購入し騙された気分がしたTOMIXのライトグリーンミックスです。 何故これをライトグリーンというのか全く理解できません。)そしてコースターフ(右写真左)と、 スタティックグラス(右写真右)です。 濃緑は使いませんので、基本は薄い方の色2色を調合します。従って、パウダー3色、ターフ2色、グラス2色でいずれも薄い黄緑を用意します。それぞれ1色づつでもメーカーが異なれば色味が違うので、 十分に雑草感は出せると思いますが、明るい春の草色系を基本色にします。紹介した草材は鉄道模型屋さんと画材屋さんの色々な店で、買い集めてきたもので、 既にメーカーや品名がはっきりしません。写真を参考に色を選んで下さい。(コースターフ3色:ウッドランドシーニックス、スタティックグラス上:ノッホ春の草原2.5mm、下:Mini Embellishment STK0157001718)
[草材]
①こんもりさせたい箇所に、ボンド溶液に浸したコースターフをピンセットで置く(2色を調合して場所により色合いを変える)
[茂みのベース]
②草を植えたい箇所にスポイトでボンド溶液を垂らし、下地としてカラーパウダーを指で撒く(薄黄緑をまばらに撒き、一部アクセントにほんの少しの緑を上から落とす)
[草地のベース]
③ボンドで湿っているうちに、スタティックグラス(2色調合)を立たせる(しっかり植えたい箇所は2~3回繰り返す)
[雑草]
この手順で撒くと、色合いや高さ/草種の違いが出て、一発で雑草のリアル感を再現できると思います。また作業中、ターフやパウダーがボンド溶液を吸って溜めるため、グラスを立たせたい箇所を特定でき、 つまりは草を撒きたくない箇所をコントロールできるため、繊細な表現が可能です。どうしても広い面積を均一に撒こうとしたくなるのですが、そこは我慢で一回に作業する面積は30x30mm以下にして、 場所を変えながら撒いていくのがコツです。撒きすぎず均一性もなくなり、自然な草地が出来上がります。作業の調子が乗ってくると撒きすぎることに要注意です。
そして肝心なのは、ランダムに草を撒かないこと。雑草の生えているのは土と水がある場所です。地形に雨水がどう流れてどこに溜まるか、水の流れと溜まる量をイメージ して草を撒くのが最大の秘訣です。

風景になってきました。運転用レイアウトにするならこれ以上のこだわりは要らないかもしれませんが、ここにアクセントの草を置くと格段にリアル感が増します。地に這った草と、背の高い草です。 地に這う草は、ちょっと緑色が足りないなと感じる部分に、ごく少量のカラーパウダーで表現します。レール間やホーム/建物の基礎、側溝などへ、数粒のパウダーを落とすだけで全体のバランスが良くなります。 背の高い草は、雑草が人工芝生のように整ってしまった部分や、さらに茂らせたいと感じる部分へ、これもごく少量のターフなどを載せてみると、風景が引き立ちます。写真では、ターフの他に乾燥苔(装飾グリーンモス: DISOで購入)をはさみで整えて木工ボンドで植えています。
[鉄道草の表現]


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