天から降った「おかげ年」のお札

 明治維新の前夜とも言うべき慶応3年(1867)の11月、夜間各地に神仏のお礼が降り、老若男女がこれを祝って、
  「おかげでちょいとナ、おかげでちょいとセ」
とはやしながら、時を忘れて踊り歩いたといわれます。

 この話を私も母から聞いていますし、昭和43年の阿智村老人クラブ刊、矢澤昇氏編の「古老は語る」にも、智里中平の熊谷仁儀さんが「おかげ年のこと」で詳細に書いています。この時、藤ノ戸の原文実さん、中平の渋谷さん、伏谷の水上さん宅にもお札が降ったと書かれています。

 写真は同じ伏谷の川畑郷(現石原治男氏)宅に降ったお札で、今も略式の祠に納めて大切にお祀りしています。大きさは縦70p横30pほどで、大分すすけていますが、熊谷さん宅のお札と同じものらしく、中央には「素戔嗚大神」その下に長髪・横向きの神像、神名の左右に「八雲たつ出雲やへ垣妻ごめに やへがきつくるその八重がきを」と変体仮名まじりの木版刷り、維新のなぞを秘めた天降りのお札です。 (H1・2)
  

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 * このお札は、平成11年5月不慮の火災のため
   残念ながら焼失してしまいました。