江戸時代の藩札

 江戸時代、全国の諸藩が財政窮乏の対策として「藩札」と言う紙幣を発行しました。最も早いのは、北陸の福井藩が寛文元年(1661)といわれていますが、近くでは飯田藩が享保18年(1733)に藩札の流通に関する触を出していますので、これ以前に発行されていることは間違いなく、この藩札のことを村札ともいったそうです。

 平成元年11月、飯田信用金庫切石支店開店にあたり日本の古い通貨や藩札が展示されましたが、展示終了後、文化財の会で竜丘の北沢小太郎さんの解説でこれを見ることができ、その実態を知らされて驚くばかりでした。中でも、幕末期に出た藩札は、発行は各藩・旗本領と別々でしたが、札には「信濃全国通用」と刷られていて、信濃国(長野県)のうちならばどこへ行っても通用する仕組みになっており、これは日本全国に例のない、信濃国だけの制度であったといわれています。

 図版の百文札は伍和の某氏所蔵のもの、縦11p、横3.6p、左が表、右が裏です。マニアの間では一枚十万円もすると聞いて二度びっくりでした。
  (H1・10)

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 表(左)下部に、信濃全國通用
 と刷ってある。