江戸時代の木簡

 木簡とは、木片に墨書したもののことで、わが国では7〜8世紀のころを中心に、貴重な紙の代用品として、伝達文書や貢進物の荷札として使用されました。これが各地の遺跡から出土して古代史解明の史料となっています。

 この写真の木片は正式の木簡とはいえませんが、正徳5年(1715)の「大野村田畑土高覚帳(名寄帳)」に、見出し用の名札として帳簿の下方に貼りつけた幅二センチ程の薄い割板です。「喜右(下方欠損)、清蔵、八右衛門、三四郎、甚十郎、五郎八」などと記されています。
 村内に江戸時代の簿冊はたくさんありますが、このような木片を貼りつけたものはこれだけで、当時の大野村のつましさと、村役人のアイデアがしのばれる異色の史料です。  (S56・7)

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