2004.6.12 飯田市上郷考古博物館 春季企画展特別講演会
『特色ある伊那谷の縄文文化』 (樋口 昇一 先生)より
*平成16年度春季展示『発掘された飯田・下伊那の縄文』
パンフレットを補足資料に使用
以下は講演の聞き取りメモですが、不勉強による間違いがありましたらご指摘下さい。
今後、文献を参照して内容を深めたいと思います。(さんま)
1.縄文時代は、1万年以上続いた新石器時代文化
約13000年前(土器の出現/紀元前110世紀!!)から
2300年前(水田による稲作の開始/紀元前300年頃〜)までの年代である
@世界に類を見ない、長い新石器時代である
*大陸から離れた島国で、大陸文化の影響を急激には受けにくいため
*暖流・寒流に囲まれており、豊かな植生(森)と動物に恵まれたから
*気候が温暖で、環境に恵まれ、文化スタイルを変える必要がなかったから
A文化が遅れていたと見がちだが、豊かな時代だった
key word | 例 や 解 説 |
土器文化の繁栄 | 様々な文様、大型土器、再現不能な薄型土器 |
遺跡数の多さ | 豊かな生活、人口の増加 |
丸木船 | 離島にも縄文遺跡、沖合漁業(マグロ等)、多様な釣針 |
漆工技術 | 世界最古と見られる8000年前の漆:日本から大陸へ? |
攻玉技術 | 硬玉を加工する技術:成形や穿孔 |
多様なモニュメント | 環状列席、盛土遺構、大型住居 巨大木柱列:運搬・建設の技術、方位の意識(天文観察) |
生産用具の発達 | 様々な石器のことかな? |
信仰用具の発達 | 土偶のことかな? |
B6つの時期に分けられる(最近の年代測定精度は±30年以下)
時期と年代 | 下伊那の縄文遺跡の例、土器形式、特筆記事 |
縄文草創期 BC11000〜7500頃 |
*増野川子石遺跡(山吹) *表裏縄文土器 |
縄文早期 BC7500〜4500頃 |
*美女遺跡(座光寺) *押型文土器(立野式) *東海・関西の条痕文系土器(オセンベ土器) *縄文海進(温暖化)による縄文人の移動開始? |
縄文前期 BC4500〜3000頃 |
*龍江大平遺跡(龍江) *縄文文化の定着(クニの形成) *東海・関西・関東の影響:縄文人の活発な移動 |
縄文中期 BC3000〜2000頃 |
*伊久間原遺跡(喬木)等、大半の遺跡 *十数軒からなる多数の集落(ムラ) *土器形式が異なる多数の文化圏(クニ)が出現 例>唐草文土器(松本平〜伊那谷北部) *下伊那独自の土器文化(北・西・南の影響) *中期末から急速な衰退:寒冷化 |
縄文後期 BC2000〜1000頃 |
*中村中平遺跡(伊賀良) *縄文文化の衰退期 *関東地方の土器文化の影響が強い |
縄文晩期 BC1000〜300頃 |
*根吹遺跡(阿南) *東海地方の条痕文系土器が浸透 *東北地方の「亀ヶ岡文化」が進出 *西日本では弥生時代が始まる |