オニギの行事

 オニギの語源は「御新木=オニュウギ」であると角川の「日本年中行事辞典」は解説していますが、「広辞苑」は「正月十四日の年越しに、疫鬼を打ち払うために門に太い薪を二本寄せかけておくこと」として、「鬼打木=オニウチギ」が語源という説をとっています。御新木は新年の仕事始めに山から取ってくる新木をいうのですが、両説をくらべてみると、広辞苑の「鬼打ち木」の方に少し分があるように感じられます。もちろん「御新木」の方にも、鬼に象徴された災厄を打ち払う木という意味がこめられるのでしょうが、願望の表現が間接的であることがすこし気にかかるのです。しかし、「ニュウギ」とか「ニンギ」という地方もあり否定はできません。

 写真は、栗矢の八幡社で数年前に見かけたオニギです。この小さな祠の前のオニギとお団子より小さいお供え餅を見たとき、栗矢の集落にはまだこの行事を守りつづけている家々のあることに少なからず感動しました。民俗行事を守りつづけている方々に敬意を表したいと思います。
 (S63・7)

はじめに 総合目次 足あと 1章 更新履歴 阿智の産土神