2.楽器部屋
<目次> | |
音のサンプル・B.C.Rich 10弦Bich |
私は音楽に関わる事においては言うまでもなく、音楽作品を作るという事に専らの関心をよせているのだが、しかしながら私は、本来的にギターと共に音楽を歩んできたのであり、もとを正せば”ギターのための音楽作品”を作曲する”ギタリスト”であった。現在は多少なりともその意味においては変化が生じてはいるけれども、基本的にはその延長線上を行く。__今や私というギタリストは、私の音楽作品のための専属ギター奏者となった。あるいはまた、私の音楽作品は、私というギター奏者のために献呈されるべく創りあげられる。作曲するという行為と、ギターを演奏するという行為は、私においては分かち難いものなのである。__私自身が、私自身の音楽の一部を成す、ということ。
では、以下に私の善き(時には悪しき)伴侶ともいうべき楽器=ギターを中心として、いくつかの関連機器を紹介したいと思う。
1, B.C.Rich Bich Supreme 10弦仕様
シリアルナンバー : 96303 10弦仕様 ネック・ブロック : メイプル ボディ両側 : ソリッド・コア 指板 : 黒檀 24フレット フロント・ピックアップ : ディマジオ PAF リア・ピックアップ : ディマジオ デュアル・サウンド シングル・ブースター仕様 マスター・ボリューム及びマスター・トーン 5ポジション・バリトーン フロント、リア パラレル・スイッチ フェイズ・スイッチ 3ポジション・セレクター コンデンサーはレーダーシュタイン社製のフィルム・コンデンサーに交換 配線材の一部をベルデン社製のものに交換 |
シリアルナンバー : A011515 ネック : メイプル ボディ : アッシュ 3ピース 指板 : 23フレットに増設 ピックアップ : フェンダージャパン・オリジナル コンデンサー : オレンジドロップ ナット : ウィルキンソン・ローラーナット・システム 内部配線材 : ベルデン ポジションスイッチは通常(5ポジション) リア・ピックアップはフロント・ピックアップと兼用でトーンコントロールが有効 |
次に登場するのはFender Japanのストラトキャスターである。これは1986年頃購入したものであるが、最近になって、3ヶ月ほどかけながら私自身の手で大掛かりな改造を施したものである。まず、ボディの塗装はもともと白であったが、それを剥離剤で全て剥がし、丁寧に目止めと研磨をした後、透明ラッカーで薄く塗装してある。またネックは音域を拡大するために23フレットに増設してある。これはウルリッヒ・ロートのかなり昔のアイデアである。ナットとストリングガイドはウィルキンソン製のローラータイプのものであるが、チューニングに関してはほとんど狂いの無いすぐれたものである。現在、製造されているかは不明。
ピックアップの配線材はオーディオ用シールドワイヤーに交換し、他の配線はすべてベルデン社のものに交換してある。また、コンデンサーもオリジナルのマイラーコンデンサーをはずし、オレンジドロップ0.047マイクロファラッドのものに交換した。
ついでながら、錆付いてしまったネジ類等は全て交換した。
さて、出音
このような大掛かりな改造を施した末に、このギターが如何なる変貌を遂げたか?・・・・その結果はまさに劇的であった。その音の変化たるや、全く新しいギターとして蘇生したかのようだ。
さて、ものは試しにGeorgeL,sのシールドコードでMesa Boogieにつないで音を出してみるならば、それまではかなり硬い音質が目立ち、いやでも耳につく音だったのが一般で言う、いわゆる”枯れた”音に変化した。言葉では表現しずらいが”中抜け”した音、”カシャカシャ”した音とでも言った方がいいだろうか、とにかく今までとは全く違うキャラクターである。これなら全てのピックアップ・ポジションが使えそうである。当然ながら、私の主力ギターである前出のBichとは全く異なる種類の音である。これはコンデンサー、もしくは配線材による効果であろうか?。いや、塗装の変更も見逃せないはずである。
現在、私はどちらの音が良いかは判断がつかないでいる。演奏性に関してはBichの方が上ではあるのだが、この改造ストラトキャスターは、Bichにはないキャラクターを持っている。そしてアーミングが出来るという特権的な特徴。このような事からいって(私の気まぐれと合わせて)、将来的に主力ギターの座を脅かす存在になるかもしれない可能性を秘めている。
加えておくならば、このギターの改造はまだ完結してはいない。次回はピックガードをハード・メイプルあたりの材木で作ってみたいと思っている。しかし、それをいつ実行するかはまだ未定ではある。
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表板 : シトカ・スプルース サイド及びバック : カーボン・グラファイト樹脂(ディ−プ・ボウル) ネック : メイプル/マホガニー 5ピース 指板 : ローズ・ウッド ピエゾ・ピックアップ Ovation Op-24プリアンプ・システム |
このギターは私の生涯において、特別な意味を持つもののひとつになるであろう事は”音楽によせて(1)”の項で概略記したとおりである。音楽というものをそれまでとは全く違った方向から問い直し、学び、思索し、自らの音楽のかく在るべき姿を模索した、息苦しくもある一時期を共に生きたギターである。
1990年の終わる頃入手して以来、その後約11年に亘って、私はほとんどこのギターのみを弾いてきたが、2002年に入り、私の音楽の方向は一挙に開け、同時にこのギターはその役目をひとまず終え、現在は当時の記憶と共に大切に保管してある。いつの日かまたこのギターを手にする事はあるのだろうか。
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懐かしき若かりし日の・・・ |
ボディ : メイプル ネック : メイプル 指板 : ローズ・ウッド フロント及びセンター・ピックアップ : ディマジオ リア・ピックアップ : ディマジオ・FRED マスター・トーン、マスター・ボリューム フロイド・ローズ・ライセンス・ビブラート・ユニット |
このギターは1987年頃入手したものである。当時、アメリカのL.A.を中心に極めてテクニカルなギター・スタイルが席巻していた。実に華やかな時期であった。このギターもそのような時代背景からの産物である。まさにギター・ソロ、超絶的速弾きのためのギターである。このギターの全てが、あの時代そのものである。私も当時このギターでもって速弾きを競い、腕をならしたものだ。このギターを手にとるたびにその頃の事が懐かしく思い出される。
現在はすでに久しく現役を退き、ほとんど弾かれる事もないが、定期的な手入れだけはしている。
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5, ピックの事
ギターなどという楽器と付き合っていると、その周辺には気にかかる事柄がいつもまとわり付いているものだ。私の場合もそのような事はいろいろとあるのだが、今一番気にかけているのは”ピック”である。これは演奏性や音に直接関わってくる。これは実に微妙な問題である。
私はギターを始めてから今日に至るまで、最高のピックにお目にかかったことがない。さらには今後においても(私の寿命が尽きるまで)出会うことはないかもしれない。しかしながら現時点において、近似的に理想に近いと思われるものはいくつかあるが、その中で今のところはJim
Dunlop のJazzVに落ち着いている。これの気に入っているところは、その鋭角な先端ゆえの”切れ込み”の鋭さである。そして以外に長持ちする。しかし演奏性はやや犠牲となっている。いい加減に弾くと弦に引っかかるのだ。もっとも、だからこそ演奏に集中しなければならないとの意識を持てるといえなくもないのであるが。そして次点には同じくJim
Dunlopの青いティアドロップ形のもので若干尖らせている。厚さは1.5mmと1.14mmのどちらでも・・・これはザラついた指ざわりが素晴らしい。しかし材質の摩擦係数が小さい(つまり良く滑る)のであろう、音は弱くなる。
ピックいろいろ・・・ 先端の尖った赤いピックがJim Dunlop JazzV |
6, MESA/BOOGIE・50 CALIBERに思う
このギターアンプはその昔、私がまだ単なる普通のギタリストだった頃、1988年頃入手したものである。
当時私は大型のセパレート式のアンプが欲しくて仕方がなかった。しかしそのようなものはみな高価であって、私など到底手が届くような代物ではなかったが、それでも尚、私は自分の要求に抗し切れなかった。そこでアンプ・ヘッドのみ購入して、スピーカーキャビネットは自作すれば良いと思い立ち、高価なMESA/BOOGIEの中にあって、比較的手ごろな価格設定であった50
CALIBERのアンプ・ヘッドを購入した。そして、自作のスピーカーキャビネットにはセレッションの30cmスピーカーを2発取り付けた。これはラワン材を二重にして組み上げた物で、恐ろしいまでに重く、頑丈なものであった(現存する)。
爆音!
それはまさに爆音であった。それまでの20wギターアンプなど及びもつかない。そしてMESA/BOOGIE特有の強烈なディストーション。とにかく良く歪むアンプである。普通の出力のギターであればリードマスター・ボリュームなど5〜6で充分である。しかしながら、機能よりも価格優先でいったため、このアンプにはMESA/BOOGIE特有のイコライザーは付いていない。したがって、音色の変化は乏しく、音作りは難しい。それでも、3つのボリュームとパッシヴ・トーンコントロールを微妙に調整すれば、変化の幅は狭いがそれなりに音を作れる。そしてなによりも真空管の音!
現在、このアンプはほとんど使われないでいる。気が向いた時、ごくたまに音を出してやるくらいである。今、私はギターの音はラインを通して出しているのでほとんど出番がなくなってしまったのだ。ギターの音に関しての私の興味は別のところにある。それは私の音楽が求めるところのものである。
かつて私はディストーションというエフェクターにかなりこだわった。その全てを列挙し、その特徴をいちいち云々していては大変な作業になってしまうのは火を見るより明らかである(専用のページが必要になるほどだ)。したがって、ここでは現在使用しているものに限って紹介するに止めたい。これなら話は早い。私が現在使っているディストーションは、たった2種類しかないのだから。
以前の私ならディストーションにおいては、如何にギターらしい音として満足しうるか、といった点に期待を寄せたであろう。あくまでもギターのための効果として。しかしながら今は違う。今はむしろ非ギター的、非現実的な音響の要素として用いる事が中心にある。それは私の音楽の要求するところである。すなわち、ギターのためではなく、音楽作品のためのディストーション発生器という事である。その意味からいえば、事態はかなりはっきりとしてくる。
現在は上の画像にある、ふたつのディストーションを使う事がほとんどである。
左側の小さいもの、これは言うまでもないMXRのディスト−ション・プラス(Jim
Dulopによる再生産初期のもの)である。しかしながらこれは電子的にかなり手を加えたもので、オリジナルの2〜3倍(!)は歪むであろう。さらにアウトプット・ボリュームも増加させてある。だが面白い事に、そのためによるノイズは極めて少ない。普通の使い方をする人にとってはとても使えた代物ではないであろうが、私はこれを一番よく好む。(現在、懲りずに再改造中!)
右のものは泣く子も黙る、エレクトロ・ハーモニクスのビッグ・マフである。これは1984年頃入手したと記憶している。全くのオリジナルである。かなり古いものなのでご覧のように全面的に錆びだらけである(実物はもっと凄まじい!)。しかし、そこには得もいえぬ威厳と風格とを漂わせている・・・。そして音はMXRのものとは全く違う、曇ったようなサウンドである。こちらは無改造。
追記 2004.1.28
さて、長らくほったらかしになっていた再改造中のMXR/ディストーション・プラスがこのたび復活した。前回の改造の際、低域の歪み成分を増強するようなチューニングを施したのであるが、しかしながらその場合、このディストーション・プラス特有の音質を大きく変質させてしまう結果となってしまう訳であり、やはり基本的に”あの音質”(粒立ちが荒く、独自の硬い音質である)のままにディストーションの深さのみを増強するに留めることとした。したがってこの部分を左右するコンデンサーの値を元に戻すのであるが、戻すついでに少しは上等なコンデンサー(フィルム・コンデンサー。元はマイラー・コンデンサーである)に入れ換えた。また、配線材も暫定的に入れ換えてみた。一部はベルデンのものであるが、手元に適当なものがないのでいろいろと探してみたいと思う。
肝心の音の方は以前の押しの強い低域は影をひそめ、ディストーション・プラス本来の音質に戻った(当然であるが・・・)。現在はディストーションの深さ6〜7程度で無改造のものにおける最大の歪みが得られる。私は極めて深いディストーションを得るためにこのような改造を施したのであるから当然、フルアップ状態での効果に期待をよせるのであるが、期待にたがわず素晴らしい(すさまじい?)ディストーション・サウンドである。低音域にもそれなりの厚みがあり、サスティーンも良いが、特徴的なのはやはり高域での”ザーザー・ザクザク感”の心地よさである。音の食いつきも申し分ない。また、驚くべき事にこの状態でも聴感上、残留ノイズは全く気にならないレベルである。
このように改造をしてくると否応無く新たな興味といったものが頭をもたげてくるが、そのさいたるものはオペアンプとダイオードの入れ換えであろうか。このディストーション・プラスではオペアンプにおいてはLM741が使われているが、互換性のある他のものと交換した場合の音色変化についての興味は尽きるものではない。オペアンプの差し替え実験など面白いかも知れない。この場合、ICソケットなどがあれば便利であろうが、ディストーション・プラスのケース内には容積的余裕など無いので(まさにギリギリである)取り付けることは無理であろう。また、ダイオードについてもオリジナルのゲルマニウム・ダイオード(型番は不明)を他のゲルマニウム・ダイオード、あるいはシリコン・ダイオード等に交換した場合、歪み方の性格は変化するであろう。さらにはダイオードクリッパー回路に細工を施すことによって、上下非対称の歪み波形を得ることも出来よう。ただ、ゲルマニウム・ダイオードに関しては現在のところ流通しているのは1N60くらいしかないとの事である。このような前時代的半導体はすでに生産されていないのだ。
ところで今回のMXR再改造に付随して、別のディストーションを引っ張り出してきてこちらの方も改めて組み直した。これは何を隠そう私のギター史において初めて手にしたディストーション・ペダル1号機である。たしかどこかの楽器店のオリジナル・キットとして販売されていたものを購入して自分で組み上げたものであるが、中身は上記のMXRのほとんどコピーであるといってもいいものである。したがって音の傾向はよく似ているが、MXRよりも軽く、ややおとなしい印象である(オペアンプはMXRと同様LM741CNであるが、クリッピング回路での1組のダイオードはゲルマニウム・ダイオードであるものの、異なる型番のものである)。コントロールはディストーションとボリュームのみである(ON-OFFのLEDは無い)。今回こちらもディストーションを増強し、前回ディストーション・プラスを改造した時のように低音域がよりよく歪むようにチューニングした。しかしながら、音の食いつきがあまいので再調整する予定である。組んだついでにボロボロになっていたケースを塗装してやった。
今回の作業の間に、以前よく使っていた懐かしいディストーション・ペダルの類がゴロゴロと出てきた。マーシャルの”The
Guv'nor”(ガバナー/初期型・英国製)、MaxonやIbanez、RAT(LED付き)、ディマジオ”ベリーメタル”、はてはよく分からないFuzzペダル、その他、残骸等々。BOSSのディストーションもあったけれどもどこにしまいこんだ事やら・・・。まあ、いずれ紹介でもしてみたいと思うが、はたして肝心の音は正常に出るのだろうか?。
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8, 足台の事
これはクラシック・ギターを弾く人のとっては必需品であろうが、エレクトリック・ギターやアコースティック・ギターを弾く者にとっては縁遠い物である。何故ならばほとんどの場合、ギターを右足に乗せて弾くからである。クラシック・ギターの場合は、左足に乗せて弾くのがお決まりなので、その場合にギターの姿勢を演奏しやすいように保つために、このような足台が必要になるというわけである。
実のところ私は、座って弾くかぎりにおいて、これは必需品なのである。私の場合、ギターを構えるスタイルはクラシック・ギターのそれと同じになるからである。何故ならば、通常の構えではどうしても高いポジションでの運指に難があるからである。15フレットを越えてくると1〜3弦しかまともに押さえられなくなってくるのだ。つまり、運指のフォームが大幅に崩れてしまうのである。クラシック・スタイルであるならばこのような事は無い(低いポジションにおいては腕が離れ、腋があまくなるのだが)。私はどのポジションも同じように使いたいのだ。そしてそれだけではなく、ピッキングをする右腕にかかる負担も緩和されるようだ(右足乗せの場合、必然的に右腕が上がるので、その姿勢を保とうとするために肩が凝ってしまうのだ)。
というわけで、このような簡単な構造の物であるならば、わざわざ買うことも無かろうと思い、有り合わせの木片を使って(お得意の)自作したという次第。使用感はまずまずであるが、いかんせん木製なので軋んでしまい、その耐久性において、いつまでもつのかは分からない。今もギシギシと鳴っている。・・・
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Entschrdigung. とりあえずここまで・・・