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Inside Farming Vol.153


この5年、弁理士試験に絶好のタイミング!?


2005年、弁理士試験に合格しました。降雹によって果樹園が全滅した日から5年を費やしての合格です。「弁理士」は、経済的な危機から偶然に特許事務所に勤務することになり、出会った資格でした。三十代後半からの新たな仕事への挑戦だったので、業界の基礎的な知識を得るため受験勉強を始めたことを覚えています。私にとっては「志す」ことさえも躊躇するような難関の試験でした。また、試験勉強を継続していれば「いつかは必ず合格できる」という確証もない試験であり、不安の中での勉強でした。それでも「農業」、「事務所勤務」、「試験勉強」の三足の草鞋を履き続け、最終的に「合格」することができました。

私が特許業界に足を踏み入れた時期が、日本政府が「プロパテント政策」(知的財産を厚く保護することにより産業の発展を図る政策)を推進した時期と一致していたのが幸いだったのかも知れません。知的財産に携わる人材の育成が叫ばれた結果、試験合格者を増員する方向が打ち出されました。また、弁理士試験の改革がもたらされた結果、私は行政書士資格によって民法、民事訴訟法などの選択科目試験の免除を手に入れることができました。
ですから、この業界に足を踏み入れる時期がもう2年早ければ試験科目の多さに受験を挫折していたかも知れません。もう2年遅ければ、自分の年齢に照らし合わせて受験を断念していたかも知れません。果樹園が全滅して特許業界に足を踏み入れたタイミングが絶妙だったような気がします。人生の偶然に、驚き、感謝したりします。

また、最近でこそ日本経済は回復の兆しが見えていますが、この5年間は、私の住むような地方の経済は「どん底」だったと思います。特に、農業にとって受難時代でありました。すなわち、デフレによる農産物の価格の下落傾向には歯止めが掛かっておりませんし、温暖化による気象条件の変化が顕在化してきており、従来どおりの作物を従来どおりの栽培方法で栽培することが困難になってきています。
私が試験勉強を開始した時期が、このような経済環境と重なっていたのも、私には良い方に働いたと思います。ハングリになれたと思うのです。もともとが自堕落な私が奮起するためには、このような外的要因も必要だったと思うのです。そして、この困難な時代を、「弁理士」になるという夢を食べることによって、落ち込まずにやってこれたことに感謝します。

そして、5年目に合格できたという幸運。年齢的にもさすがにタイムリミットでした。不惑の40代をいつまでも机上の試験勉強に費やすわけにはいかないと考えていました。ですから、合格できてよかった。

5年という期間は長かったのかどうか。ただ、無駄な5年間ではなかったと思えることに感謝します。(2006/1/21)


なお、平成17年度の弁理士試験統計を特許庁のHPで見ますと、平均受験回数は4.4回。合格者の平均年齢は34.7歳だそうです。最近は2、3年で合格される方が増加しているので、受験回数は減少傾向にあるようですが、一般的には4、5年を費やす試験なのだということを統計からも感じます。平均年齢については、私はこの業界に入った時点でこの年齢を超えていたので、笑うしかありません。


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