バッド・カンパニー BAD COMPANY:極悪中隊
本体名:虹村形兆 <ニジムラ・ケイチョウ>
虹村億泰の兄
能力:小人サイズの兵士・戦車・戦闘ヘリから成るミニチュア軍隊のスタンド
スタンド形成法 | 射程距離 | パワー | 射程・パワー増加法 |
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能力戦闘体 | 10m以下 (本文参照) | 高 | 半操作分離 |
スタンド解説
■本体である虹村形兆を指揮官として戦闘を行うミニチュア軍隊のスタンド。その編成は、「M16自動小銃」を持った身長10cmほどの歩兵が60体、それにスケールを合わせた全長50cmほどの戦車が7台、全長1m弱の戦闘ヘリ「アパッチ」が4機、さらに隠密任務用のグリーンベレーが1体いる。(作中で登場したのは以上だが、他にもまだ特殊人員等がいる可能性がある) それらの姿は戦車・戦闘ヘリはもとより歩兵の衣服や細かな装備に至るまで、現実の物とそっくりに形作られている。ただ兵士の肉体だけはスタンド的なデザインをしており、そのロボットのような顔には丸い両目と三角の穴が空いた鼻と、常に半開きの四角い口がある。
■虹村兄弟(とその父親)は、「思考」に関係する肉体的・霊的な遺伝によるものなのか、普通の人間より物事を「考えすぎる」気質を持ち、さらに自分の思考の「型」に周りの物事を従わせようとする性格を持っている。この精神性は彼らの能力にも大きな影響を与え、彼らのスタンドは共通して「自身の思考空間を現実世界に出現させる」能力を有している。そして形兆は、まるで脳内に思い浮かべたチェス盤と駒の配置を現実のチェス盤上にそのまま再現するかのように、自分の脳内空間に軍隊を構築・布陣し、それをそのまま現実世界にスタンドとして出現させることができる。
■バッド・カンパニーは「軍隊型スタンド」と、それを内包する「戦術空間」とが一体になったスタンドであり、両方まとめて出現する。戦術空間は不可視のスタンドエネルギーから成り、形兆の周囲の空間に展開される。そしてこの戦術空間には2つの役割がある。1つは空間内の座標を正確に規定することである。戦術空間はその内部の3次元空間を、物差しでミリ単位のマス目を引くかのように規定し管理する。この不可視の座標は現実空間の物体には何の影響も与えないが、バッド・カンパニーのスタンド体にとってはそれこそが彼らの立脚する空間となる。現実世界の物体が現実世界の空間に立脚して存在するように、バッド・カンパニーのスタンド体は戦術空間に立脚し、その中でのみ存在できるのである。
■戦術空間のもう1つの役割は、周囲の空間の3次元的な「地図」を得ることである。現実空間にスタンドエネルギーとして広がる戦術空間は、空間内の地形や生物の配置を正確に写し取り、それらの変化にリアルタイムに同期し続ける。そうして得られた周囲の空間の地図は形兆の脳内にフィードバックされ、形兆はこの地図を基に軍隊の進軍方法などの戦略を練る。(このためバッド・カンパニーは形兆の視界外や暗闇でも戦術空間内であれば、形兆・スタンドともに問題なく活動できる) このように、バッド・カンパニーの活動する空間は現実世界であると同時にそこに重ねられた「形兆の思考空間」でもあり、バッド・カンパニーは現実の地形と現実の敵を相手に、ミニチュア軍隊を用いてチェスのように戦術に特化した戦いを挑めるスタンドなのである。
■戦術空間は戦況に応じてその展開方向や形状を変えることができ、例えば敵との対面時には形兆の前方に扇状に展開される。ただ、空間を強力に管理するこの戦術空間は形兆の情報処理能力のリソースを大きく消費するため、その範囲はあまり広くはない。それはつまり、その中でしか存在できないバッド・カンパニーの活動範囲も狭いということである。その射程距離は、戦術空間を形兆を中心に円状に展開した場合は半径5m程度、形兆の前方に展開した場合でも10m以下しかないと推測される。
■戦術空間内においてバッド・カンパニーの軍隊は、物質と同じ1Gの重力を受けているかのように活動し、実際彼らが立脚する戦術空間には彼らを下方向に引っ張る力が法則として与えられている。(なお余談だが形兆の両耳に付けられたイヤリングは「下を向いた矢印」の形をしている) 歩兵は床や地面の上を走って移動し、ロープを使って壁をよじ登り、高所から飛び降りる際には背中のパラシュートを使用する。また戦車も床などの上だけを走行し、戦闘ヘリはローターを回転させて浮揚する。
■本来なら重力に縛られず浮遊できるスタンドにわざわざ与えられている一見不便なこの性質は、このミニチュア軍隊のスタンドにとっては利点が多い。まず1つの利点は戦術的な安定性が高まることである。無重力空間では普通のチェス盤と駒を使った対戦が難しく磁石入りの物が必要となるように、バッド・カンパニーにおいてもスタンド体が浮遊しているより地面・床面に貼り付ける力があった方が戦術を安定して実行できる。次の利点は武器兵器を使用する際の安定性である。現実の武器兵器を正確に模倣したバッド・カンパニーの兵装は、有重力下のほうが問題なく機能する。(例えば重力がなければバッド・カンパニーの戦車は砲撃の際に、反動で後方に大きく吹き飛んだり地面で跳ねて浮かび上がったりしてしまう) また以上に加えて、形兆のミリタリー的なこだわりも有重力を採用した理由かもしれない。
■バッド・カンパニーの兵士の1体1体にはロボットのAIのような簡単な知能が備わっており、ある程度自立的に行動できる。バッド・カンパニーでは基本的に、戦術的な指揮は形兆が行い、実際の動作は兵士が行う。例えば「移動方向の指示」や「攻撃の標的やタイミング」は形兆が指揮し、実際の歩行や標的に狙いをつけて撃つ動作は兵士のAIが担当するわけである。また個々の兵士の知能は軍隊全体でゆるやかに繋がっており、まるで一つの生き物のように幾何学的に整列したり、整然と行進したりできる。そしてその連携能力は混戦時においてもいかんなく発揮される。
■なお、バッド・カンパニーの各種スタンド体の強度は本体身体との対応により与えられており、スタンドがダメージを受ければそれは本体に返る。ただし1体当たりに割り振られている本体身体との対応はあまり多くはないため、兵士が数体破壊された程度では本体のダメージはほとんど無い。
■バッド・カンパニーが保有する兵器・兵装の威力はサイズ相応ではあるがかなりの火力を有している。歩兵が持つ自動小銃の弾の一発一発は敵の肉体に1cm弱埋まる程度の威力を持ち、歩兵数10名で一斉に連射すれば標的に無数の弾痕を空け、命中箇所が頭部であれば行動不能に至らしめるほどのダメージを与えられる。また戦車が撃ち出す砲弾や戦闘ヘリが発射するミサイル、歩兵が設置する地雷は、一発命中すれば敵の肉体の体表を10cm四方ほど浅く吹き飛ばせる。バッド・カンパニーはこれらの兵器を用いて、敵に対する多方向からの攻撃、意識外の方向からの奇襲を可能とし、特にバッド・カンパニー全隊による間断ない集中砲火の攻撃力は凄まじく、これを防ぎ切るのは近距離パワー型の人型スタンドでもまず不可能である。
■なお、おそらくバッド・カンパニーはスタンドが発現した時点では今よりはるかに小規模の編成しか無かったと考えられる。そして形兆は、まずはその状態でスタンドの戦術的操作に慣れ、より大規模な戦術行動を管理できる実力を身に付け、それに応じて兵士の数を増やしたり戦術空間を広げたり兵士の装備を増やしたり戦車や戦闘ヘリを作り出したりしながら、現在の規模になったと考えられる。つまりバッド・カンパニーは「本体の思考により自身のスタンド体を改造できる」極めて特殊なスタンドであり、個々のスタンド体の異常な作り込みは、この特性と形兆の几帳面さによって与えられたものなのである。
内部リンク
- 『ザ・ハンド』
- 形兆の実弟億泰のスタンド。右手で「空間」を掴み削り取ることができる。
- 『ハーヴェスト』
- 直立歩行する甲虫のような姿を持つ数100体の小型スタンド。総数や射程距離はバッド・カンパニーより上だがパワーでは劣る。
- 『「スタンドは1人1体」の複雑な理由』
- ジョジョ3部の序盤で語られたこの法則について詳しく説明。