SECOND MISSION〜Final
Fantasy VIII・IF〜
〜ルナサイドベース・1〜
エスタの大統領官邸に本来の主が戻ってきた。 それにしては仕事が減らないな−−−−大統領代理から副大統領に肩書きが変わったリントナーは、そんなことを考えながら官邸の廊下を急いでいた。 もっともそれは、最初から予想していたことだった。と言うより、10年前と同じ状況に戻っただけだ。細かい日常業務に関しては、ラグナはどうもアテにならない。 しかし、ラグナの情報分析力と判断力はジャーナリストとしてあちこち飛び回るうちにさらに磨きがかかり、リントナーが事実上エスタのトップにあったこの10年の間にも何度も助けられた。 そして何よりも、行動力という点ではラグナに代われる者は誰もいなかった。リントナーも17年前、反アデル派の指導者のひとりとして情報収集や計画立案にかかわっていたが、それを行動に移せずにいたことは他のメンバーと同じだった。ラグナがいなかったらエスタの解放はなかった−−−−とまではいかなくても、少なくとももっと時間がかかっただろうし、こんなにうまくもいかなかっただろうと彼は思う。 新たな厄災が現れそれがいつエスタにも及ぶかわからないこの時期、そのラグナがエスタに戻る気になったことは不思議な安心感を市民にもたらしていた。それはリントナー自身も同様だった。彼がそこにいてくれるだけで、自分も政府の要職にある身として、いざ何か問題が起こった時には自分自身がなすべきことをきっちりとこなせるという確信が持てた。 そのはずなのだが。 自分の目の前にいるのが今のエスタを作り上げるのにかかせなかった人間だというのは夢か気のせいか何かの間違いかも・・・・・・・・・と、リントナーはちらりと思った。 ラグナは大統領執務室のデスクの上に山積みになっている資料や書類の陰に隠れるようにして、居眠りの真っ最中だった。今日はいびきをかいていないだけまだマシかなー、と思いながらリントナーはラグナの肩をゆさぶった。 「ラグナさん」 「ん〜〜〜〜〜」 「起きてくださいよ」 「お〜〜〜〜〜〜〜〜〜」 うなっているばかりで、起きる気配はない。 「起きてくださいってばっ!!」 リントナーはラグナの耳をひっぱってどなった。さすがのラグナもそれには飛び起きた。 「あ・・・・・・・・・おはよーございます」 ラグナはまだぼやーっとしながらぺこりと頭を下げた。その頬には服のしわのあとがしっかりとついていた。 「おはよーございますじゃないですよ、まったく」 どうしていざという時以外はこうも緊張感がないのかな、この人は。血相を変えて帰ってきたあの時とはまるで別人だ。リントナーは苦笑いするしかなかった。 「何度も言うようですが、仕事をするならする、寝るなら寝るでどっちかにしたらどうですか?」 「・・・・・・・・・やっぱこうやってひとっところに腰をすえて仕事するってのは、オレの性には合わねえや」ラグナは大あくびをしながら言った。「そんでも、本格的に大統領職に戻るんなら勉強し直しとかにゃならんことは山ほどあるしよ」 「その気になってくださったのはありがたいんですけどね。資料室を自分でかき回すのはやめてくれませんか?担当者が泣いていましたよ。後始末が大変だって」 ラグナは笑ってごまかした。 「んで、用件はなんだ?わざわざ説教しに来たってわけじゃあねえだろ?」 「あ、かんじんなことを忘れるところでした」リントナーはファイルをさしだした。「ガルバディアの情報部員から報告がありました。魔女・イデアが姿を消したそうです」 「消えた?イデアが?」 「はい。−−−−先日、バラムガーデンとガルバディアガーデンとの間で戦闘があったそうです。それはバラムガーデン側の勝利で終わったんですが、その後、ガルバディアガーデンにいたはずのイデアの行方がわからなくなったとのことです」 「死んだのか?」 「死体は確認されていません。それに、ガルバディア軍も、多少再編の動きはありますが、基本的な態勢が変わったということはないようです」 「現在の指導者はサイファー・アルマシー−−−−−魔女・イデアの片腕として動いていたガキだな」ラグナは報告書をめくりながら言った。「ガーデン同士が直接交戦してガルバディア側が負けたとなると・・・・・・・・・。こりゃあ、手先の連中を動かしておいて自分はいったん表舞台からはひっこんだ方がいいと判断して行方をくらましたってことも考えられるな」 ラグナは報告書にじっくりと目を通した。 ガーデン同士の戦闘をさかいにして、ガルバディア軍の全世界を焼き払わんとするばかりの無茶苦茶な行動は止まった。しかし、カーウェイをはじめとする反魔女派が復権した様子はない。ガルバディアは今も魔女の支配下にある。イデアと−−−−というか、魔女とガーデンとの間に何か確執があるのは間違いない。魔女が何よりも恐れているのはSeeD。そのSeeDの攻撃が直接自分の身にせまったとなると、とりあえず姿を消して裏から糸をひく方法に変えるというのも考えられないことじゃない。−−−−この推論で当たってるのか?当たっているとしたら、魔女は次にどう出る?・・・・・・・・・それとも、事実はまるっきりあさっての方向にあるのか?もし魔女派の連中がイデアがもう死んでいるのを隠して勝手に動いているのだとしたら、事情は全然違ってくる。それとも−−−−−−。 「−−−−−ラグナさん」 「ん?」 ラグナは報告書から顔を上げた。 「報告書を待つのではなく、ご自分で調べに行きたいと思っているんじゃないですか?」 「ん・・・・・・・・まあ。そんなことねえよって言ったら、ウソになるわな」ラグナはファイルをデスクの上にほおった。「でも、子供たちが見つかったのはあんたたちのおかげだもんな。あんたたちがいてくれってのを振り切ってくわけにもいかねえだろ?それによ。なんにしても、しばらくはエルのそばにいてやりたい。この一件がかたづくまではエルを安心してエスタの外には出せそうにないとなると、ここで落ち着いて仕事をするってのも悪くないよな」 「それなら・・・・・・・いいんですが」 「でも、ホントのホント、正直に言えば、『おまえみたいなネズミ花火野郎はいらん』とでも言ってくれた方がありがたかったなー、とも思ってたりして」 「・・・・・・・ネズミ花火?」 「ん〜〜〜、なんか知らんけど、キロスがオレのことをそう言ってたんだな」 「なるほど。言い得て妙ですね」 リントナーはうなづいた。 「そうなの?」そう言った本人は、実はなんのことやらさっぱりわかっていなかった。「解説はしてくれなくていいぜ。どーせロクな意味じゃねえんだろうからよ・・・・・・・・・・」 「それならしませんが。−−−−しかし、あなたがある日突然いなくなっている、ということは少なくとも当分はないと信じていいんですね?」 「ん。まあな」 「それはよかった」 リントナーはにこっとして、別のファイルをラグナに渡した。 「なんだ、これ?」 「あなたのスケジュール表です。秘書が毎日チェックしますので覚えておく必要はありませんが、いちおう目を通しておいてください」 ラグナはなんだか嫌な気分でファイルを開いた。そして、最初の方をちらっと見るなり、言った。 「−−−−−なんだよ、このはーどすけじゅーるは・・・・・・・・・・・」 「あなたの指示を元にして作ったらこうなったんですけどねー。いやがってとんずらしたりしないでくださいよ」 「んなこたあしねえけどさ・・・・・・・・・。半分手伝わない?」 |
××× |
仕事を半分−−−−というか、内政関係はこれまで通りリントナーに丸投げ状態にしてしまったが、それでもやはり、ハードスケジュールであることには変わりがなかった。 視察しておきたいところは山ほどあってそれは自分で行くしかないし、国外からの情報の整理も人任せにはできない。それに、突然エスタに帰るハメになってしまったためジャーナリストとして請け負った仕事が残っていた。 それと、もうひとつ。 「お帰り、ラグナくん。ずいぶん遅かったな」 夜がふけてやっと帰ってきたラグナにキロスは言った。 「文句はオダインに言ってくれ。ったく、今日は久しぶりにのんびりできると思ってたのによ〜〜〜〜〜」 ラグナはどさっとソファーに座った。 ほぼ1週間ぶりの帰宅だった。地方に出かけている時はもちろん、市内にいても仕事が山積み、家に帰ることすらままならない日が続いていた。 「今日はぜってー研究所にいろって何日も前から言っといたのによ。なのにあの野郎、それがどうしたってなもんでどこぞをちょろちょろしてて、やっと帰ってきたと思えば今やってる研究の話をえんえんとするんだもんな〜〜〜〜。おかげで、明るいうちに帰れたはずがこの時間だぜ。かと言って、あいつヌキでは魔女対策はマトモにできねえし・・・・・・・・・・・」 「似た者同士だ。あきらめろ」 「似た者って・・・・・・・誰と、誰が」 「君とオダイン」 「どこがだよっ」 「ちょっと目を離すとすぐに行方不明になることといい、ひとつのことに熱中すると回りが見えなくなることといい、話を始めると止まらなくなることといい。−−−−違うか?」 「・・・・・・・・フン」 反論できず。 最初の頃こそ、ラグナはオダインと協力しながらも、と言うより、協力せざるを得なかったゆえにアデル派に対する以上の警戒心をオダインに持っていた。しかし今では、それなりにいい関係を作っていた。一見すると今もいがみあっているようだがそれは、ケンカするほど仲がいいというやつだ。−−−−本人たちは認めたくないようだが。 オダインは常識というものをほとんど持ち合わせておらず、さすがに野放しにしておくのは危険だが、しかし、悪人というわけではない。ただ単に、自分に正直すぎるだけのことだ。変な方向に暴走さえしなければ科学者としては優秀であり、アデル後のエスタの改革のためにも彼の能力は必要だった。それに、よくも悪くも裏表がなくてわかりやすい性格で、ラグナをトップとする反アデル派の政権が安定した後は彼の行動を制御するのはそんなに難しいことではなくなった。そして、エルオーネへの執着もなくしたとなれば、いつまでも敵視したままにしておくのは惜しいおもしろいじいさんだった。 「それで?ちゃんと話は通ったのか?」 「どうだかな〜〜〜。イデアについてわかってる限りのことは話してきたし資料も渡しはしたけど、なんかいまいち興味持ってくれねえんだよ、あのじじい。イデアの生死すらわかってない今の状況じゃ、ちょっとやそっとじゃ無理かな。まあ、なんかありゃあ動くとは思うけどよ。−−−−あ、そうそう」ラグナはふいに話を変えた。「原稿、送っといてくれたか?」 「ああ。新聞社一社に雑誌社二社。これで、正式に原稿依頼を受けていた仕事は全部終わりだ」 「一段落ついた、か」ラグナはほっとしながらも、残念そうに言った。「2ヶ月や3ヶ月なら、行方をくらますのはいつものことだけどよ、今度はそう簡単にはいきそうにねえしな。世間に忘れられんうちにブン屋家業に戻れりゃいいが・・・・・・・・・・」 「忘れられたらここでおとなしく大統領を続けるんだな。君にはなぜか、政治家の才能もあることだし。威厳に欠けるのが難点だが」 「やーだね。政治は自分がやるよりも、はたでごちゃごちゃ言う方がおもしろい。とっととカタつけて、また心おきなく飛び出して行けるようにするさ。−−−−つーことで、明日っからルナサイドベースに行ってくるわ。あとのこと、よろしくな」 「わかった。しかし・・・・・・・。エルオーネはどうする?」 「エル?なんだ?なんかあったのか??」 「別に、なにかあったというわけではないが・・・・・・・・・」 「なんだよ、はっきり言えよ」 「では、はっきり言うが。−−−−少しはあの子をかまってやれないか?」 「あ?」 「あの子を連れて帰ってきてからゆっくりしていたのはほんの2、3日だったろう?そのあとは、話をするどころか顔を見ることすらほとんどできなくて。やはり−−−−淋しいのだと思う。君が家に帰ることもできないくらい忙しくしているのはエルオーネが早く本当に安心して暮らせるようにするためだと、あの子もわかっているから口には出さないが。今日だって、君が久しぶりに早く帰ってこれそうだというのをすごく喜んで、昼のうちからはりきって夕食の支度をしていたんだよ」 「そっか・・・・・。そいつは、悪いことしたな・・・・・・・・・」 ラグナは頭をばりばりかいた。 「それで、ちょっとおせっかいかとは思ったのだが。君のルナサイドベースでの滞在予定を3日伸ばしてもらった。出発枠もひとりぶん確保した。エルオーネも連れていってやったらどうだ?あちらでの仕事はそんなにはないし、そう簡単には邪魔も入らない」 「あ・・・・ん。でもよ・・・・・・・・・・」 「君が不在の間に何か起こることを心配しているのならば気にするな。国外の情勢も今は落ち着いているようだし、エスタが完全に他国と断絶していることも幸いと言うか、何か動きがあってもこちらにまで影響が及ぶことはまずないだろう。それに、この10年、エスタは君なしでやってきたんだ、正式に大統領職に戻ったからってそんなに何もかも背負い込もうとするな。いいかげんなようでいて変に責任感が強いところもあるからな、君は。−−−−とにかく、少しは休め。長丁場だ、たまには休暇を取らないと早く老けてエルオーネに嫌われるぞ」 「キロス・・・・・・。おまえさ、真顔で冗談言うのはやめろよ」 「わかったか?」キロスの目がかすかに笑った。「しかし、君の体が心配なのは本当だ。このあたりで一度休暇を取れ。いいな?」 「・・・・・・・・んじゃ、そうさせてもらおっかな」彼自身、ちょっとした合間にいねむりするくらいではさすがにもたないな、と思い始めていたところだった。「で、エルは?」 「キッチンにいる。・・・・・・・・ああ、そうそう。これを君からエルオーネに渡してやれ」 キロスは封筒をラグナに手渡した。 「なんだ、これ?」 「例の船の船長からあの子への手紙だ」 「見つかったのか?で、ホントに無事だったか?」 「ああ。多少船体が破損したのと、戦闘の影響で情緒不安定になった一部の子供を他の施設に移したこと以外は特に被害はなかったらしい。君とエルオーネからのメッセージも伝えたが、警戒心が強いのだな、それでもまだ信用してもらえるところまではいかなかったようだ。定期的な連絡の要請は拒絶されてしまった」 「ま、しゃーねーな。エスタをそんなふうにしちまったのはオレにも責任があるんだし。今すぐはダメだけど、この一件がかたづいたら開国を働きかけてみるか。いい機会だしな」 「それから・・・・・・・。その直前にバラムガーデンとの接触もあったようだが、くわしいことは話してもらえなかった」 「あ〜〜〜、また入れ違いかよ・・・・・・・・・・・・」 対魔女の戦力として育てられたSeeDたちと、そしてなによりもスコールに会いたくて、バラムガーデンの行方も必死になって探してはいた。しかし転戦につぐ転戦でひっきりなしに移動しているガーデンを捕まえることは未だにできていなかった。 「こうもニアミスばっか続くと、なんか息子には永遠に会えないような気になってくるぜ・・・・・・・・・・」 「居場所をつきとめるだけに17年かかったんだ。ちょっと連絡が取れないくらいで気弱になるんじゃない」 「それもそうだよな。ここんとこは、エルにいい知らせができるだけでよしとするか」 |
× |
ラグナがキッチンに入っていくと、エルオーネは皿を拭く手を止めた。 「あ・・・・・・・・おかえりなさい」 彼女はそれだけ言うと、かたづけものを続けた。 −−−−こいつは、ちょっとヤバいことになってないか? どことなくつっけんどんなエルオーネの様子に、ラグナはひいてしまった。淋しがってるなんてかわいいもんじゃない。今日は・・・・・・・・怒ってるよ、こりゃあ。 「・・・・・・・ごめんな、また遅くなっちまって。いや、早く帰れるはずだったんだけど・・・・・・・・」 「大変なお仕事をしているんだもの。しかたないよね」 頭ではわかっていても気持ちの方がついていかない、そんな口調だった。 「えーと・・・・・・・・」 困り果てたところでラグナは、手にしていた封筒のことを思い出した。 「ほんと、悪かったよ。だけど今日は、いい話もあるんだ。−−−−−これ」 彼は封筒をエルオーネにさしだした。 「なあに?」 「SeeD船の船長から、おまえにだ」 「見つかったのね?!」 彼女は急いで封を開け、中の手紙を読んだ。 「・・・・・・・・よかった。みんな、無事みたい」エルオーネはほっとして言った。「でも、やっぱりエスタを信用してないのかな・・・・・・。こんなそっけない手紙を書く人じゃないんだけど」 「どうもそうらしいな。ま、そのうちなんとかするさ」 第二次魔女戦争の終結だけじゃなくエスタ開国まで手がけるとなると、どのくらい時間がかかるだろう。ブン屋廃業も覚悟してかからんとダメかな。ラグナはちらりとそう思った。 「でさ・・・・・・・明日からルナサイドベースに行くんだ。またしばらく帰ってこれないんだけど・・・・・・・・」 「そう・・・・・・・・・。気をつけて行ってきてね」 エルオーネはまたしゅんとして言った。 「−−−−そんで、おまえも行かないか?」 「え?」 「宇宙ってヤツを、おまえも見てみたくないか?」 「でも・・・・・・・お仕事で行くんでしょ?邪魔じゃない?」 「狭い基地を視察して現状報告を聞くだけだから、そんなに仕事はないんだ。それに、ささいなことでわずらわされる心配もないから、向こうで休暇も取るつもりなんだ。おまえも来てくれりゃ、ゆっくり話ができる」 「キロスさんにそうしろって言われたの?」 「う・・・・・・」ラグナは言葉につまった。「バレた?」 「うん、ちょっと、ね。そんな気がしたの」 「なんだあ、オレが考えついたことにしとこうと思ったのにな」 キロスが突然あんなことを言い出したのは、単にエルオーネの気持ちを察したからじゃなさそうだな・・・・・・・・。ラグナはそう思った。 「確かにだんどりつけてくれたのはキロスだけど、オレもそうしたいんだよ。しばらくエスタで仕事することにしたのはおまえのそばにいたいからだったはずなのに、かえってそうはいかなくなっちまってさ。ほんのちょこっと時間を作っただけでごまかすみたいでナンだけど、おまえも来てくれりゃうれしいよ。・・・・・・・・ただ、な」 「なあに?」 「ルナサイドベースの重要な仕事に、アデルの監視ってのがある。基地の窓からアデルの姿が見えるんだ。もしおまえがアデルのそばには行きたくないってんなら、早めに帰ってこっちで休暇にすることも考えるけど」 「ううん、そんなのは平気。・・・・・・・・・私、行きたいな」 「いいのか?」 「だって、ここではいくら休暇中でもいつ呼び出されるかわからないでしょ?いつもそうじゃない。それに私、ラグナおじさんが仕事しているところが見たいな。だって、おじさんが大統領だってこと、やっぱり信じられないんだもん」 「おまえもオレのこと、信用してくれてなかったってわけね・・・・・・・」 エルオーネはいたずらっぽく笑った。 「ま、いいや。じゃ、出発は明日の夕方だからな。オレは明日も朝から出るけど、準備はウォードにまかせてあるからわかんないことがあったらあいつに訊いてくれ」 「うん、わかったわ。なんかわがまま言っちゃったみたいでごめんなさい。ううん、ありがとう。−−−−ね、ごはん食べるでしょ?すぐしたくするからちょっと待ってて」 エルオーネはシチューの鍋を火にかけた。 実は、夕食はすでに外ですませてきていたのだが、断れるはずがなかった。 |