▼ 第十二話『死神と日向ぼっこ1』
翌日も至って上天気だった。
ここ最近ない感じだったから、少し妙な感じがするけど梅雨明けも近いのだろう。夏はじっとりと暑いから嫌だな。夏は避暑地にとか、優雅な生活をおくってみたいものだ。
今朝も祐真くんの姿は見えなかった。
朝から出没する幽霊というのも奇妙なものだから、出てきていなくて普通なのだけど、祐真くんの場合時間を選んでいる風はなかった。
あのあと、ミカミにもう一つ祐真くんとの接触をシャットアウトするという提案もしていただいたが、即却下した。
昨日改めて実感したのだけど、私は祐真くんにとり憑かれているんだろう。だから昨日も祐真くんの感情に巻き込まれて、あんな苦しい思いをしたんだ。
でもきっと祐真くん本人は、もっときつかったはずだ。
それを分かってて今更なしには出来ない。
まあ、これはミカミもいってみただけだったのだろう「ですよね」と笑っただけだった。
「祐真くん、大丈夫かな?」
昼休み、天気が良いから中庭に出てみんなでお昼を食べたあと、晴れた空に向かって大きく伸びをしてごろりと芝生に転がる。
さっきまで一緒だった由良と柊木は部活関係で席を外してしまった。
鈴奈は今日もまだ見掛けていないけど、放課後話したいといってくれていたのでその時には姿を現すだろう。
大きな木のお陰で直射日光は遮られ、心地よい木漏れ日が降ってくる。
昨夜は余り眠れなかったからかなりの睡魔が襲ってくる状況だ。
「大丈夫、という表現が正しいのかどうかは分かりませんが、大分落ち着いているようですし姿を見せていないだけですよ」
お弁当箱を片付けながら、のんびりとそういったミカミに頷いた。
「最近、天使兄妹見ないね」
込み上げてくる欠伸を噛み殺しながら、ふと思い出した。あの赤毛の双子兄妹の剣幕では、早々簡単に諦めるとは思わなかったのに、最近とても静かだ。
ミカミは、ああ。と、頷いてくすくすと笑いを溢した。
「暫らくは来ないと思いますよ。宿題を出したので答えが見付かるまでは大人しいと思います」
「そんな難題出したの?」
「難題ですねえ、僕にも未だに答えは見付かりませんから」
ミカミの口ぶりは大変に愉快そうだが、ミカミにも得られない答え、あの二人は導き出せるのだろうか? 途中で諦めさせたいのか、それとも永遠の課題にさせたいのか、ミカミの心は読めない。
分かることといえば、余ほど天使を傍置きたくないということだけだ。
噛み殺した欠伸で浮かんだ涙をごしっと拭った。
「私、少し寝るからチャイムまでに起こして」
私の言葉に、ミカミは少し呆れたようだが木々が葉を揺らすように柔らかく微笑んで了承してくれた。瞼は重く直ぐにまどろみの中へと落ちていく。
私がこんな穏やかな日をおくれるのは、ミカミのお陰だろう。
祐真くんにもそんな時間が早く訪れると良いのだけどと願わずにはいられない。
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