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 大平(おおひら)神社<頭(こうべ)権現>(大平不動)

  所在地(氏子):阿智村智里(小野川 熊谷氏)

  祭神:○大平霊大神(魂大神/武田信豊命)
       富士大神(小花開耶姫命)
       琴平大神(大国主神/金毘羅様)       
大平神社参道
山門のような休憩所
大平神社正面
 明治4年(1871)の神社取調書上帳によると、明和9年(1772)に勧請し、文政11年(1828)に京都の神祇管領から「大平不動」の称号を受け、神名帳に搭載している。頭蓋骨が御神体であり、頭部の病気に霊顕があるといわれて、春秋の祭典には近郷からの参詣人で賑わったという。
 社伝によると、天正10年(1582)殿島において山伏が草刈りの村人熊谷弁治に神坂越えの道を尋ねたところ、言葉が無礼だと争いになり、山伏は村人の鎌によって切り殺された。山伏は武田一族の落武者と名乗っていたが、弁治の遠祖熊谷直実が源氏に仕えていたことに思い当たった。武田氏は源氏の嫡流にあたることから、数年後に非道を悔やんで遺骨を掘り出し祀ったという。一説には、疫病流行の際に、山伏の祟りと知って遺骨を祀ったともいう。

 頭権現は、小学校の遠足などで「頭の良くなる神様」として訪れる村の名所である。<写真下>のように合格祈願の絵馬がいくつも奉納されている。この絵馬は1枚100円で社殿前に用意されており、代金は賽銭箱に入れてくださいと書かれているのが心和む。
 富士大神は家内安全・農耕の神として、琴平大神は商売繁盛・縁結びの神として合祀されている。参道は100m程あり、よく整備されている。山里の素朴な隠れスポットである。

 なお、この神社近くの民家に「富士石」という磐座のような石が祀られている。富士参詣に行ったご先祖の懐に入っていた小石が、庭先で日に日に大きくなったという面白いいわれを持つ。
富士石