阿智神社 奥宮(山王権現)
所在地(氏子):阿智村智里(昼神)
祭神:○天八意思兼命(あめのやごころおもいかねのみこと)
天表春命(あめのうわはるのみこと)
昼神温泉郷の前宮から更に2kmほど園原インター方面へ向かうと奥宮がある。ここは清内路方面から流れる黒川と、恵那山を源流とする本谷川の合流点で、奥宮のある森は2つの川に挟まれた半島状で別名河合陵(かわいのみささぎ)ともいう。2つの川と森を同時にカメラに納めるには駒場ダムの敷地内に入る必要がある(今回は断念)。
平安時代の延喜式神名帳(927撰上)に信濃国48座の神社が記載されているが、そのうち伊那郡では阿智神社と大山田神社の2座のみである。阿智神社は伊那谷で最も古い由緒を持つ神社(延喜式内社)である。
祭神の天八意思兼命は古事記や日本書紀の中で高天原第一の知恵の神として活躍する。先代旧事本紀(平安初期か?)によると、思兼命とその兒(みこ)である表春命が信濃国に天降り、阿智の祝部(はふりべ)の祖になったという。阿智神社は思兼命を主神に祀る本社だったと思われる。
この他に思兼命を祀る神社として、戸隠神社宝光社や秩父神社が知られ、どちらも社運隆盛である。戸隠神社については平安中期に阿智の祝部の一族(徳武氏)が移り住み、分霊したと伝えられる。また、秩父神社に祀られる知知夫彦命の祖神は、表春命の弟神である天下春命(あめのしたはるのみこと)である。いずれも阿智神社と関係の深い神社である。
近年、拝殿の改築や境内の整備を行い、拝殿前には吾道女舞(あちめのまい)を奉納するための石舞台も作られた。磐座(いわくら)周辺も整備されている。( → 参考資料等)
→ 阿智村誌 p.318
→ 智里村誌 p.318
→ 阿智神社パンフレット(前宮にあり)