満願寺の甲子さま

 馬場の満願寺にこんな甲子(きのえね)さまの石碑があります。碑といっても高さが34pほどの小さな自然石ですが、何かのはずみに石が欠けたところ、その中心部に卵の黄身のような長円形の石が現れた。これは不思議というので、その長円形の石に、「甲子」という文字を刻んでお祭りした…のではないかと想像されます。

 甲子というのは、甲乙丙丁…という十種類の「十干」と、子丑寅卯……という十二支の組み合わせで、その最初の組み合わせが「甲子」になるわけで、六十回の組み合わせで最初の「甲子」に戻ります。つまり六十日または六十年でひとまわりするわけです。最近の「甲子年」は昭和五十九年でした。この甲子碑には造立の年号がありませんが、江戸末期か明治年間でしょう。

 甲子様の日には何か丸い形をした御馳走を作って大黒様に供えた記憶がありますが、ご記憶の方はありませんか。 (H5・9)

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