木戸脇の杉山さんの裏庭に芭蕉の句碑があるというので、見せていただきました。この句碑は最近まで半分以上地中に埋もれていたのを掘り出して据え直したとのことで、そのため中央より少し上のところでやや斜めに変色しています。碑石の高さ76p、幅50p、花崗岩の自然石に彫られた句は
「五六間そふて雨ふる家内喜哉 は志越」
とありあまり耳にしない作品で、「芭蕉」を「は志を」と書いたのも不審ですが、句の意味もよくわかりません。
高森町の雅友木村昭選さんに御教示をお願いしたところ、「俳句評釈」「芭蕉全伝」のコピーを送ってくれました。
それによると、「八九間空で雨降る柳かな」という句が「木枯」「続猿蓑」等数種の句集に載っていて、「八九間」は柳の木の高さで、「空で雨降る」は八九間の柳の葉を伝わって滴る雨のしずくの描写であるといいます。
「八九間」を「五六間」にしたり、「はせを」とあるべきを「はしを」としたのは、何か意図があってのことかとも思わせますが、「やなぎ」に結納目録の「家内喜多留(やなぎだる)」以外には使わない変体がなを使っているのも解せないことのひとつです。 (H2・5)