月見堂の名月の歌碑
園原が月の名所といわれたのは次の歌に由来しており、月見堂(広拯院)にはその歌碑があります。
木賊かるそのはら山のこの間より
みがかれいづる秋の夜の月 源 仲正
木賊(とくさ)はスギナを太くしたような茎の叢生する植物で、乾燥して木工品の研磨に用いられます。古来園原はその自生地であったことから「木賊刈る」は園原の枕言葉となり、謡曲「木賊」のテーマとなりました。
歌の意味は、「この里の産物である木賊によって磨かれたかと思われるほど澄みきって、園原山の木の間から明るい秋の月がのぼってきた」という詠嘆ですが、この地の明月に魅せられて古来多くの文人墨客が訪れました。
この歌の作者は平安末期の歌人で、原作は「みがき出でぬる秋の夜の月」であったが、歌の手引書「名寄」に改作されて流布されたといわれます。
歌碑の筆者は北原痴山で、満月をかたどった円形の碑が珍しく、碑陰には園原の名所を列記しています。 (H1・9)