姿を消した安楽堂

 伍和河内の掘割を越えた県道の道下にあった安楽堂というお堂が、県道の改良工事(バイパス)の用地となるために取りこわされ、村内の堂庵がまた一つ姿を消しました。
 このお堂は、伊那秩父三十四ケ所の札所のうちの第七番札所となっていて、

    ひとすじに願い河内の観世音
    二世安楽とたれもたのまん

という御詠歌があります。「願い河内」とは「願い乞う」という言葉をこの地の河内という地名にかけたもので、「二世安楽」は現世と来世の幸せを願う意味です。

 堂内には、木造の阿弥陀如来立像と地蔵菩薩立像、弘法大師座像、石造の阿弥陀三尊立像と地蔵菩薩立像の五基が安置されてありましたが、これらの仏像は新しく建築された河内の集会所内に古色をたたえたお厨子と共に遷座されたときいています。仏像のほかに井戸掘りの図を描いた珍しい絵馬額もあり、村にとってもいずれも貴重な文化財ですので大切に保存していただきたいと思います。 (S61・6)

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