宗円寺の十王像

 十王には諸説があり、中国の道教の影響をうけて成立し、諸宗融合の時流の中で仏教に結びついたといわれます。十王信仰は冥界(あの世)で亡者(死者)を裁いて、生前の罪の軽重により来世の生まれ場所が決まるというもので、勧善懲悪のわかりやすい説法が民衆に理解され普及しました。

 写真は伍和宗円寺の本堂隅の長押の上の棚に安置されたもので、製作年代はわかりませんが十体全部が揃っている、というより全部で十二体あります。
 十王の各名称は、秦広王、初江王、宋帝王、五官王、閻羅王、変成王、太山王、平等王、都市王、五道転輪王の十体で、このうち五番日の閻羅王は俗に閻魔王といわれるもので一般にもよく知られていますが、写真では右から三体目が顔や体を朱色に塗られているので閻魔王かと思われます。右端の大きな口をあけているのは脱衣婆で、「そうずかのばば」ともいわれ、十王のうちには入らないが必ずセットに組まれ、三途の川で死者の衣類をはぎ取るという怖い婆さんです。  (H3・9)

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