伊賀良神社の標札

 伍和の寺尾には、「おてろう様」といわれる伊賀良(いがら)神社があって、400mの参道並木は「伊那一」と伊那史学会から折紙をつけられたほどの規模と環境を保ち、今回地域文化財保全事業の助成を得て駐車場や参道修復が行われ、来訪者も増えています。

 この神社の標札を屋号「伊利」の肥後良逸さんが保管されていて拝見しましたが、制作年代は寛政十年です。この標札がどこに掛けられていたのか判りませんが、表面の「伊賀良神社手羅尾(てらお)大権現」という名称は神祇官領長の下付した社号「手羅尾山神社」と違います。また何故か神官の名前が消されています。
 勧化(かんげ)の世話人は河内村の原宗武と同武吉、栗矢村の井原市郎右衛門と同九右衛門です。

 意外なのは、この標札の制作者が「駒場村大仏師主水(もんど)伊達重義造之(これをつくる)」とあることで、駒場にそんな仏師のいたことは初耳です。
 (H5・10)

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