神坂神社本殿の彫刻

 園原の神坂神社本殿は、明治22年に再建したものですが、この一間社流れ造りに加えられた彫刻は精巧なもので、訪れる人を驚嘆させています。杉と栃の巨木のかげにあり覆屋によって保護されているので、保存状態もよく、百年以上になるというのに、竜の細いひげの先にさえ損傷もなく、梁・紅梁に技術が躍動しています。

 この社殿の建造は、園原の史跡保存顕彰に一生を捧げた熊谷直一翁の先達によるものですが、下伊那・西筑摩・恵那三郡有志の協賛により社務所・石垣等と共に新築して面目を一新したといわれます。そしてこの社殿の工匠は木曽の人坂田亀吉、俗に「木曽亀」といわれた宮大工で、木曽亀が造営した神社は、飯伊に数社あり(伊賀良の熊野神社、下条の入登山神社ほか)、この地伊那谷に生涯を終えたといわれます。  (S62・5)

本殿
龍の拡大写真
はじめに 総合目次 足あと 1章 更新履歴 阿智の産土神