安布知神社内陣の十字形束

 安布知神社の本殿拝殿を、長野県史の「美術建築資料編」に収載するということで、来村された県史編纂委員の吉澤先生が、調査中にひとこと「ほう、これは」と言われたのが右の写真の十字形束です。

 これは内陣正面中央の、八意思兼命を祀る神殿の欄間にあたるところにある束で、変形ながら十字形をしています。総体に飾り線のついた格子形の文様が、角を上下にして描かれ、中央部には円形の白地があり周縁を青色で円を描き、その直径を三分するように二本の直線がオレンジ色で描かれています。

 吉澤先生が「ほう!」と言われたのは、類例の少ないことと受取りましたが、私はもしや「十字架」では? と連想しました。領主宮崎氏が切支丹? そんな話はかつて聞きません。丸に二本引きにもわけがありそうです。  (H2・8)

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