安布知神社社宝『八華鏡』
駒場の旧郷社安布知神社の社宝に「八華鏡」という白銅製の鏡があります。安布知神社の奥の院のある明灯山から出土し、八意思兼命の御霊代(御神体)として斎き祀ったと伝承される直径12.5cm の鏡です。
八華鏡は外周が八つの花びらのようになっているところから名づけられたもので、古墳の副葬品として数多く発見されている円形の銅鏡とは異ります。中央に鈕(ちゅう)という紐を通すための凸起があり、そのまわりに四つの盛り上がった動物とも何とも判定できない形状の造形があります。 その外側に隆起した円があってその外側の八つの花びらにあたる所には花かつぼみか果物かと思われる形の文様があります。
この反対側の面は平らな鏡になっています。長年手入れをしてありませんので顔が写るというわけにはいさませんが、白銅特有の滑面で光を反射させることはできます。 信仰の対象品であっただけに軽卒なことはできませんが、製作時代を知りたいものです。
(H8・1)
安布知神社の八華鏡と全く同じ形のものが大分県から出土しており、「唐華含綬双鳳八華鏡」と呼ばれることを、清原さんという方から教えて頂きました。左右に向かい合っているのが2羽の鳳で、唐花と呼ばれる花の上に乗っています。(日本の美術No.42・和鏡第32図参照) なお、写真の上下が逆です。(文責 さんま)