三年前から、しもやけのような症状がひどく、冬になると右手の指がパンパンにはれます。皮膚科で軟こうを処方してもらいましたが、改善しません。夜は手袋をし、毎日ハンドクリームを塗っています。かぼちゃなどビタミンEを摂るようにもしています。どうすれば治りますか。(広島市東区・女性・20歳)
しもやけは正式には凍瘡(とうそう)といって、指先や耳たぶなどが赤くはれ、かゆみを伴います。寒冷刺激により、末端器官への血液循環に障害が起きるために生じます。
指先が寒冷刺激を受けると、動脈と静脈が収縮しますが、温かくなると動脈に比べて静脈の収縮の回復が遅れるために血流が滞り、指先の皮下組織に体液がたまった状態となり浮腫性の紅斑となります。はれ・かゆみは血流が改善するときの治癒症状ともいえます。
指先が冷えやすい冬は、手袋などの防寒をするとともに、水仕事のあとは気化熱で皮膚が冷えますので、水気をしっかりふいてください。治療では、ビタミンEの外用や内服、痛みのつらいときには消炎鎮痛剤を使用します。
皮膚は、表面を覆う角質層のバリアーに守られています。その角質層がお湯・洗剤やせっけん、シャンプーなどの刺激を繰り返し受けて壊れると、湿疹につながります。角質層は通常、時間とともに回復するのですが、水仕事で間断なく刺激を受けると壊れたままとなり、余計に刺激を受けやすくなって悪化するのです。
表皮の底で細胞が生まれ分化しながら表面に向かい、死んで角質層を作り、やがて(垢となって)剥がれ落ちます。
角質層が壊れていると、さまざまな刺激を受けやすくなってしまいます。
手の腫れのほか、かゆみ、ひび割れが多いです。外来患者では女性が約七割を占めますが、主婦ばかりでなく、水仕事を避けられない調理師や美容師の男性も少なくありません。
壊れた角質層が完全に回復するには、一カ月かかります。この間、とにかく洗剤や水に触れないようにする生活を勧めます。職業柄どうしても水仕事を続ける人は、手袋を上手に使って、洗剤や水に直接当たらないようにします。ただし手が蒸れないように気をつけてください。手袋の中で皮膚が蒸れると角質層の薄い手背の湿疹が悪化します。(蒸れのせいで、湿疹が広がる可能性があるからです。)
手袋を二重にします。木綿の手袋をし、その上からゴム手袋をはめます。木綿の手袋は、さらに指先部分を切ると、いっそう蒸れにくくなり、手も動かしやすくなります。
使い捨てのビニール製手袋も役立ちます。例えばトイレに行ったり、子どものおむつを交換したりするときに使って、用事のあと捨てれば、手を洗わずに済みます。
傷ができれば亜鉛化軟こうや洗剤仕事の前後にワセリンを手に塗るとよいでしょう。刺激から手を守る効果が期待できます。
かゆいときに、手を熱湯につける方があります。熱湯の中でかゆみは一時的には収まるのですが、結局は皮膚の表面にある脂分を奪ってしまうため、皮膚のバリアー機能が弱ってしまうのです。
実は、しょっちゅうせっけんを使って手洗いをする幼児にも、手の湿疹が増えています。幼児の手は角質層が薄いうえに、きちんと水気をふき取らなければ蒸発時に乾燥してしまいます。清潔にする心掛け自体は悪くありませんが、洗い過ぎに気をつけましょう。
このページは「中国新聞」平成19年12月26日、平成20年2月6日に掲載されました。