■「hotto(ほっと)する会」の活動の、他団体にはないユニークなところって何ですか。


菖蒲 結局のところ「hotto(ほっと)する会」が依拠しているのは「ピア・カウンセリング」の手法だと思うんですよ。通常、カウンセリングって一対一で、片方が心理の専門家、もう片方がクライアントという役割のもとで進められるわけですよね。それに対して、「ピア・カウンセリング」というのは、同じ悩みをもつ人同士で互いの悩みを話し合い、そして聴き合うことによって、カウンセリングと同じような効果があるという心理療法の一つですね。「ピア」とは、仲間という意味ですね。仲間同士のカウンセリングです。例えば、障害者同士で悩みを聴き合うというような実践で有名です。


■自助グループの発想と近いわけですね。


菖蒲 そうですね。毎回驚いてしまうんですけど、同じような境遇や立場のお母さん同士で、お互いにアドバイスし合ったり、アイディアを提案し合ったりしている。そういう中で、みなさんほっとした表情になったり、元気になったりして帰っていくわけです。同じ立場、同じ境遇の人たちが集まったときに、互いが互いに対してもつ力ってすごいんだなと思いましたね。
私の場合、心理の専門家としてその場に参加しているわけですが、私が上からの専門家目線で何か言うことよりも、お母さんたちの間で、同じ当事者目線同士でそれをし合っている、しかもそれがかなり活発に行われているということが、とてもすごいと思いますね。


■そこが「目立ちたくない」「当事者の親以外は受け容れない」という先の話と繋がるわけですね。


菖蒲 そうです。下手に目立ってしまうことで、興味本位の人だったり、立場や境遇が同じではない人だったりが入ってきてしまうというような事態は避けたい。そんなことをすれば、場の雰囲気やバランスは崩れてしまいますからね。