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国井雅比古さんの講演に感動

 19日、文化会館4階大ホールで「採茶使会」主催のシンポジウムが開かれました。協賛は「お茶壷道中実行委員会」、後援は都留市と都留市教育委員会でした。テーマは「勝山城茶壷蔵を生かしたこれからのまちづくり・ひとづくり」。ハガキの案内に基調講演が国井雅比古氏とあったので、この日取るものも取りあえず駆けつけました。
 国井氏の講演は「さすが」としか言いようがありませんでした。丁寧にメモをとらなかったのが残念でなりません。内容と意図を受け止めきれたかどうか分かりませんが、以下は私の印象です。

「ふるさと都留を想う」
 これは国井氏のテーマでした。しかし、ご自身も言われたように一度も都留市には触れませんでした。語ったのはまちづくりに成功した各地の例でした。
 日本中で高齢化が進み、限界集落が3000も生まれ、寂しい年寄りがたくさんいると現状を述べたあとで北海道道東の標津町、大分の湯布院町(現由布市)、徳島の上勝町、山形の鶴岡市などの取り組みを紹介しました。
 強く記憶に残ったのは標津町の2億円の屋台につながる3人の職員の決意と鶴岡市のダダチャ豆に示された郷土愛の例でした。「食卓の王様」で訪問して以来、標津町とは13年も交流が続いているといいます。それぞれにすばらしいエピソードが語られました。ぜひ、ホームページなどで見てください。
 そして国井氏が教訓として語ったのは「危機感が知恵を生む」でした。

「危機感が知恵を生む」
 まちづくりというと働く場が問題にされるが、その前に町を愛すること、自分たちが楽しむこと、その魂、核づくり、感動が必要で、祭りが盛んなところは共同体意識がしっかりしているという意味のことを語られました。人は自分の存在が認められることが必要で、特に女性は力を発揮する、なによりも「住民が主人公でなければならない」とも言われました。その上で、地域おこしに必要なのは危機感だというのです。国井氏は直接的な言い方は避けましたが、私には「都留市には危機感が足りない」と聞こえました。「ふるさと都留を想う」忠告ではないでしょうか。

ゴーギャン展を引いて
 シンポジウムのあとでコーディネーターから求められて再度発言した国井氏は「いまゴーギャン展が開かれている。『我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか』世界中が考えている。そのなかでこの企画はタイミングが良かった。ただ他力本願ではダメ。お茶壷蔵がまちづくりにつながるだろうか。…おっとりした市民性はいいが、100年先を見てケンカのような議論があってもいいのでは」と、「危機感の欠如」に今度はかなり率直な指摘でした。

 

 満席かなと心配して駆けつけたら聴衆はなぜか150人ほど。しかも研修として聞かせたかった市の職員は数人で、もったいないことでした。