3月議会報告 予算反対討論(1)
労働者をモノのように使い捨てる
一部の地域を除き、4月22日付の一般紙に「都留民報」の議会報告を折り込みました。重複しますが、今週から予算反対討論を連載します。「赤旗」読者の皆様には退屈でしょうが、しばらくお付き合いをお願いします。
2人の総理が政権を投げ出したあとを継いだ、麻生内閣の半年余りは小泉内閣の構造改革の破綻を立証した日々でした。
構造改革は何だったのか。典型となるのは大企業の意向をそのまま実行した労働分野の構造改革です。この10年、正規労働者が409万人減り非正規労働者が606万人増え、ワーキングプアやネットカフェ難民を生み出しました。労働災害は2007年の死傷者数5885人、2004年の9倍に激増しました。昨年後半、大企業を中心とした「派遣切り」「期間工切り」が社会問題化しました。景気のいいときには、正社員を派遣や期間工に置き換えて大儲けをし、景気が悪化したらモノのように使い捨てる、この大企業の横暴勝手を容易にしたのが派遣法の改悪、構造改革でした。
しかし、年末年始の「年越し派遣村」がマスコミで大きく取り上げられ、派遣社員の労働組合結成など各地で労働者の反撃が始まりました。いま政府も派遣法の見直しを言い出さざるを得ない状況です。
ばらまきで景気は回復しない
いま自民・公明は一挙に「政権から転落」の危機に直面しており、麻生内閣は構造改革の基本路線に固執しつつも、国民の支持を上げるための手直しを余儀なくされています。
後期高齢者医療制度の相次ぐ手直し、保険証取り上げに一定の歯止めをかける、不十分ですが中小企業への緊急融資など、次々に手直しをしています。しかし、構造改革の抜本的な見直し、外需頼みからGDPの6割を占める国民消費を暖める施策なしに未曾有の経済危機は乗り切れません。3月末の派遣切り、期間工切りは40万人に達するのではないかといわれています。中小企業の3月危機は回避できても、危機を少し先延ばしにするだけではないかと危惧する声もあります。
世界で一番冷たい格差社会
振り返れば、国民皆保険、国民皆年金が始まった1961年当時の国民年金の保険料は月100円でした。物価や給料で比較して、大雑把に20倍としても今なら2000円程度です。それが新年度の国民年金保険料は1万4660円、146倍にもなっています。税金でいえは、当時、所得税は就職から数年は取られませんでした。毎年の減税で課税最低限が引き上げられていたからです。いまでは正規雇用者のほとんどが所得税を納めているのではないでしょうか。
税と社会保障料の重さをみたとき、日本は決して中負担・中福祉などではありません。ヨーロッパ諸国が、税の還元率が平均60%であるのに、日本は44%に過ぎないという試算があります。高負担、低福祉というのが日本の実態であり、あるアメリカの学者は日本を評して「世界で一番冷たい格差社会」とさえ言っています。
(つづく)