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「年金差し押さえ」で対県交渉

 1月27日、党県委員会の対県税務課交渉に参加しました。
 税金を「納めるお金があるのに納めない人に対する徴収強化」に誰も異論はないでしょう。しかし、今回の交渉のテーマは「生活困難な人が税金を滞納した場合に年金を差し押さえてよいのか」でした。

「年金は差し押さえていない」?
 党「年金の差し押さえは禁止されています」
 県「年金の差し押さえはしていません。差し押さえているのは預金です」
 党「年金しか収入のない人にとって振り込まれた預金は年金でしょう。それは年金の差し押さえです。給与の差し押さえでさえ4分の1までと決められているのに、年金を全額差し押さえることが許されるのか。生存権の否定ではないか」
 県「いえ、年金は差し押さえていません。差し押さえをしているのは預金です。預金の原資が年金かどうかまで把握できません」

「地方税滞納整理推進機構」
 県税務課の課長は「差し押さえしているのは預金です」を繰り返しました。この話を聞いた人はほとんど「屁理屈だ」といいます。
 交渉のあと話題になったのは昨年4月に県主導で作られた「県地方税滞納整理推進機構」でした。この機構が発行した「市町村税徴収率アップのための五つのポイント」という文書があります。

  1. 組織的に取り組む
  2. まず差押から実施
  3. 少額分納は原則認めない
  4. 延滞金はしっかり徴収する
  5. 法令に則った不納欠損を行う
 それぞれにその心がまえが細かく書いてありますが、「首長が毅然としてどんどん差し押さえてしまえ」といった内容です。憲法25条の精神や納税者の権利擁護、不況に苦しむ人に対する配慮などまったく感じられません。ある市がホームページに平成20年9月までの差し押さえの実績を載せていました。  給与59件  不動産111件 自動車46件 預貯金584件 生命保険126件 その他89件 計1015件  預貯金が6割近くを占めます。その中に「年金」がどれだけ含まれているか心配です。

「庶民は長期不況」が一目瞭然
 国民健康保険中央会発行の「国保新聞」によれば、平成19年度実績で、全国で国保税の収納率が最も下がったのは山梨県(90・82%)でした。その危機感から「滞納整理推進機構」を立ち上げたのでしょうか。しかし、この記事にあるグラフでは平成元年に94・04%だった全国平均の収納率は平成19年度には90・49%まで下がっています。徴収強化のもと、わずかに収納率は上がっていますが、それは主として大都市です。  一方、「国保新聞」は資格証明書の発行(保険証の取り上げ)に対する批判を受けて厚労省が「機械的な対応にならないよう都道府県に指導を求める通知を示した」と報じています。世論の前に「9年ぶりの見直し」だそうです。政治はすでに動き始めています。