「給付金」 行きづまりのシンボル
政治の曲がり角、この秋くらい、この言葉を実感したことはありません。
オバマ大統領誕生
何よりも4日のアメリカの大統領選、オバマ氏の当選です。
イラク爆撃を強行した国、新自由主義経済で金融危機を招いた本家、そのアメリカで核廃絶、イラクからの米軍撤退などを掲げ、ブッシュ政権からの転換を訴えての当選に誰もが変化を感じたのではないでしょうか。もちろん、アメリカの政治がどう変わっていくかは、これからの推移を見なければ分かりませんが、諸外国の反応もおおむね好意的です。問題はアメリカのやることは何でも正しいとひたすら追従してきた日本政府です。気がついたら「お友達は誰もいなかった」になりそうです。
「地域振興券」の焼き直し
毎日のテレビ、新聞を賑わしているのが「定額給付金」です。総理に就任したらすぐにでも解散、総選挙に打って出るかのような勢いだった麻生さん、いま選挙をやったら大負けという世論調査にたちまち腰砕けになりました。そして打ち出した「定額給付金」。その問題点は日刊「赤旗」と先週の「赤旗日曜版」特集で明らかです。
しかも今週になっても与党内で調整がつかず、ついに地方に丸投げということになりました。支給方法、所得制限はどうする、施設入所者やホームレスの人にはどう支給するなど何も決まっていないままで、丸投げされた地方から怒りの声が上がりました。「年末・年始、年度末など多忙を極める中でいい迷惑」という声は当然です。公明党の強い要求だという、何かに似ていると思って気がついたのが「地域振興券」です。
インターネットで調べて笑いました。ある標題に「天下の愚策」とあったからです。そのほかの記事も大体同じようなもので、「7000億円を使って地域の振興にはつながらなかった愚策」の評価は定まっているようです。それを2兆円使ってまたやろうというのです。共通しているのは公明党の提案を自民党が受け入れたことです。
そして1999年、自民党が「地域振興券」の提案を受け入れたのを機に公明党が与党入りしました。
良いことは何もなかった
あれから10年、公明党が与党になってから何かいいことがあったでしょうか。
ある自民党員が述懐しました。「公明党が与党になってから政治が悪くなった」と。勝手に解釈するなら、「長年自民党に所属していて、自民党だって国民のくらしのことを考えているはずなのに、公明党が与党入りしてから政府はろくなことをしなくなった」ということのようです。
この人の自民党に対する思いは幻想に終わらざるを得ませんが、いわゆる「自分は保守だから自民党」と思っている人たちの中に多い考え方ではないでしょうか。それを幻想と気づかせる、これからも公明党は貴重な役割を果たしていくのかもしれません。