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小泉「改革」に国民的反撃

 5月11日夜9時からのNHKスペシャル「緊急報告・社会保障が危ない」を見ました。番組欄で見ても▽健康保険が使えず死者続出▽リストラされて知る危うい身▽おひとりさまの老後を誰が支える▽貧困の連鎖を断て、とまじめな内容でした。解説を読むと…

「社会保障の危機」を正面に

 日本の社会保障が危機に瀕している。財源不足に加え、これまで制度の基盤となってきた「企業による福祉」や「家族の支え合い」が弱体化し、セーフティーネットの網からこぼれ落ちる人が激増している。
 リストラや非正規化によって健康保険の保険料が払えなくなり、医療を受けられずに死にいたった会社員。介護保険のサービス縮小によって一人暮らしが立ち行かなくなった高齢者。生活保護から抜け出そうと働き先を探すが、仕事がなく再び生活保護に頼らざるを得ないシングルマザー。
 企業福祉からはじき出される非正規社員や、一人で暮らす高齢者・独身の男女、いわゆる「おひとりさま」の急増など、日本全体が大きな社会構造の変化に見舞われるなかで、社会保障を建て直すためはどうすればいいのか。崩壊寸前の社会保障の現状を検証し、危機の原因と解決に向けた課題を探る。
 財源問題にまで踏み込んだものではありませんでしたが、現状を告発し課題を探るという点では十分だったのではないでしょうか。
 コメンテーターの金子勝慶大教授の発言は小気味いいものでした。官僚が「国民的討論が必要」というのに対して、「そんな事を言ってる場合じゃない。政治がただちに対応する必要がある」と切り返しました。官僚も「これまでのように社会保障費を毎年2千200億円削減するのはムリ」と言わざるを得ませんでした。これは自民党も言い出していることです。社会保障の全分野で国民の「何とかしろ」という声が高まっていることの反映ではないでしょうか。
 この番組は18日(日)10時からBS2で再放送されるそうです。

「改革」の実体が表舞台に
 小泉「改革」の最後の仕事、郵政民営化を問い大勝ちした総選挙が、実は自・公政治の終わりの始まりだったのではないでしょうか。小泉人気を利用した「改革」は国民がよく分からないまますべての分野でどんどん進められました。いま、その実体が国民の前に現われ、すべての分野で反撃が始まっています。
 今週の「赤旗」日曜版のトップは医師会の後期高齢者医療制度にたいする「異議あり」です。「異議あり」の医師会はついに30都府県に達しました。小泉「改革」が深刻にした矛盾は社会保障だけでなく道路特定財源、郵政民営化、農業と食料自給率などを政治の表舞台に登場させることになりました。

自然の脅威を実感する大災害
 ミャンマーのサイクロンと中国の大地震、テレビから被災者の嘆きと困難が伝わってきます。一人でも多くの命が救われるよう祈るばかりです。