| 前へ | Top |2005年〜 | 次へ |

CO2が減らないわけ

庶民の努力の一方で

 2月3日から日刊「しんぶん赤旗」に「地球の悲鳴 問われる日本」という記事が連載されています。7日現在、5回目です。地球温暖化の深刻さはいうまでもありません。二酸化炭素(CO2)削減の必要性も常識になっています。経過と中心点を振り返ってみます。

約束期間の始まる年
 京都議定書で日本は地球温暖化の主な原因とされるCO2排出量を2012年までに1990年比で6%減らすことが義務づけられています。そして今年はその約束期間の最初の年です。ところが、政府が排出量の八割を占めている産業界の対応を日本経団連の自主的取り組みに任せた結果、排出量は減るどころか逆に増えています。そのため、目標を達成するためには今後13・7%減らさなければなりません。
 昨年11月27日、市田書記局長は参議院で「日本の温室効果ガス全排出量に占める石炭火力発電による二酸化炭素(CO2)排出量の割合が、京都議定書が定める基準年(1990年)の4・76%から、2005年には15・08%に増加し…総排出量の7分の1を占めるまでになっている」「日本経団連の『自主行動計画』で、このうちの12業界が削減目標を達成したとしながら総排出量では、基準年から2500万トンも増やしている」と指摘し、政府に産業界への対応を迫っています。
 暮の12月21日、環境省と経済産業省の合同審議会が京都議定書の目標達成計画の見直しに関する最終報告をまとめました。「しんぶん赤旗」はこの最終報告は現実的裏付けを欠いたものと批判しました。

石炭火力発電の急増
 連載はこの石炭火力発電所の急増にスポットを当てていますが、その連載(1)の大見出し「180事業所で51%」に驚きました。この数字は環境NGO「機構ネットワーク」(浅岡美恵代表)の調査によるものです。産業界の排出量が大半だろう、それも大企業だろうとは思っていましたが、これほどとは思いませんでした。そしてその中心は「火力発電所と製鉄所、石油精製、製紙、セメント、化学」です。
 連載は1995年の電気事業法などの規制緩和で始まった石炭火力発電所の建設ラッシュとCO2排出量の急増を明らかにしました。石炭消費量は1994年から2004年までに40%も増えた(大塚直早稲田大学大学院教授)といいます。政府が排出量を規制せず、「エネルギー効率」の注文をつけただけではCO2が削減されるわけがありません。
 ネットで見ると、いろいろな団体が地球温暖化問題を取り上げていますが、中には政府の統計を無批判に使ったもの、内容も「国民の責任」「個人の努力」にすり替えられかねないものもあります。
 連載(1)はいいます。「原油高騰などの直撃をうけた庶民が、エアコンの設定温度を低くしたり、白熱電球から蛍光ランプ、LEDランプにかえたり、省エネを進めているなか、二酸化炭素を直接排出している超大口事業所への規制はどうなっているのか――」
 この分野でも大企業いいなり政治の行きづまりは明らかです。