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国内の「難民」問題はどうする

 依然としてお産の問題が新聞、テレビを賑わしています。10月26日、妊婦の救急搬送の実態について、初の全国調査の結果が報道されました。

日本中で分娩難民が
 病院受け入れを1回以上断られた例が3年間で5849件もありました。去年1年間で救急搬送された妊婦約3万5千人のうち、9割以上は1回で受け入れが決まっていますが、30分以上待たされた例が1012件もあり、中には26回断られて3時間半も待機させられた例もあったといいます。
 いまや医師不足は誰の目にも明らかで、国の医療費や社会保障費の抑制という政策の転換がどうしても必要です。また、産科医師の待遇改善も急務です。
 こうしたなか、夜のラジオで、アフリカのマリ共和国で自立支援の活動をするNGOの女性の話を聞きました。それこそ何気なく「世界中にいろいろな仕事をしている人がいるものだ」と聞いていたのですが、だんだん妙な気持ちになりました。

国内問題は解決不能か
 日本中に「自立」できないで苦しんでいる人たちが大勢います。ネットカフェで寝泊りする青年やワーキングプアが問題になっています。戦争のための「難民」は世界中の問題ですが、国内では「介護難民」「分娩難民」などという言葉が飛び交っています。
 経済大国が発展途上国の支援をするのは当然です。しかし、まともな政治なら国内問題も正面にすえて解決のための努力をするでしょう。NGOの女性が「自立支援は、たとえば安全なお産のために産科医を派遣するのではなく、現地で産科医を育成するための教育に力を入れるのです」というのを聞いて、悪い冗談を聞いているような気さえしました。

東大が授業料免除制度、だが…
 先日、日刊「赤旗」で「東京大学、親の年収が400万円以下なら授業料免除」という記事を読み、学生の運動が実ったことを知りました。それはよいことなのですが、少し違和感が残りました。東大だからできるんじゃないか…。やはり同じ疑問を感じた人がいたようです。10月31日付けの「赤旗」の「知りたい 聞きたい」欄に質問が寄せられていました。

新しい「難民」の誕生?
 「国は、国立大学に対する運営費交付金の中で、授業料収入の5・8%、入学料収入の0・5%を減免枠の財源として措置しているだけです。各大学が、これによって減免した総額は、2004年度で171億円(国立大学生の約5%の授業料分)でした。…私立大学の減免実施額はたった112億円…。私立大学の学生数は国立の3・3倍なのに、国が措置している免除額は6分の1。私立大学では、毎年1万人を超える学生が経済的理由によって退学しています」。「教育難民」「大学難民」、貧困の広がりのための新しい「難民」です。
 「政府は、(憲法が保障する)国民の教育を受ける権利を保障するために、対策をこうじる責任があります」 当然の結論です。